判旨
選挙運動とは、特定の選挙につき、特定の候補者の当選を目的として、投票を得または得させるために直接または間接に有利な影響を与える行為をいう。本件では、被告人の行為が当該定義に該当し、公職選挙法等による制限の対象となることが示された。
問題の所在(論点)
昭和22年勅令第1号第15条第1項(現行の公職選挙法上の諸規定に対応)にいう「選挙運動」の意義およびその範囲が問題となる。
規範
選挙運動とは、特定の選挙に関し、特定の候補者の当選を図り、あるいは当選させないために、投票を得させ、または得させない目的をもって、直接または間接に選挙人に働きかける行為をいう。これは、単なる政治的活動や立候補の準備行為とは区別される概念である。
重要事実
被告人は、昭和22年勅令第1号第15条第1項(当時の選挙規定)に基づき、禁止された期間等において選挙運動を行ったとして起訴された。被告人は、自らの行為が憲法上保護されるべき政治活動等に当たり、同条にいう「選挙運動」には該当しないと主張して上告した。
あてはめ
判決文には具体的な事実関係の詳細な記述はないが、原審が認定した事実によれば、被告人の行為は、特定の選挙において特定の候補者の当選を目的とする客観的な態様を備えていたと判断された。したがって、表現の自由等の憲法的保障を考慮しても、当該行為が選挙運動に該当することは明らかであり、法令による制限を免れないと評価される。
結論
被告人の行為は選挙運動に該当し、憲法違反の主張は前提を欠くため、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、公職選挙法における「選挙運動」の定義を確立したリーディングケースとして機能する。答案上は、政治的表現の自由(憲法21条1項)との限界が問題となる場面で、目的的要素(当選目的)と態様的要素(選挙人への働きかけ)の二点から、単なる政治活動と選挙運動を峻別する際の規範として用いる。
事件番号: 昭和26(あ)2230 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」は、目的犯のように政治的目的ないし政治的意図を要件とするものではない。政府等の施策活動に関する論議であり、現実の政治に影響を与える行動であれば、主観的な目的の有無にかかわらず同条の活動に該当する。 第1 事案の概要:被告人が行った論議が、昭和22年勅…
事件番号: 昭和25(あ)84 / 裁判年月日: 昭和25年2月21日 / 結論: 棄却
原判決が昭和二二年勅令第一號第一五条にいう「政治上の活動」の意義について、最高裁判所の判例に示された解釈に從つて被告人の行為を判断しているときは、たとえ判例の適用あやまつたとしても刑訴法第四〇五条第二號にいわゆる「判例と相反する判断をした」ということはできない。
事件番号: 昭和25(あ)3393 / 裁判年月日: 昭和26年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧警察法上の政治活動の禁止に関し、本人の主観的な政治活動の意思の有無にかかわらず、現実の政治に影響を与えるような行動は政治活動に該当すると判断した。 第1 事案の概要:被告人が特定の行為(具体的な行為内容は判決文からは不明)を行い、これが当時の警察法等により禁止されていた「政治活動」に該当するかが…
事件番号: 昭和26(あ)1768 / 裁判年月日: 昭和26年7月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年勅令第1号15条1項にいう「政治上の活動」とは、現実の政治に直接又は間接の影響を及ぼすものと認められるような行動を指す。また、憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、裁判所の組織や構成において偏頗の恐れがないことを意味する。 第1 事案の概要:被告人が昭和22年勅令第1号(公職に関する就職…
事件番号: 昭和25(あ)1064 / 裁判年月日: 昭和25年6月29日 / 結論: 棄却
所論は要するに本件第一事實の被告人の所爲は、判示縣選舉管理委員會の吏員に對し書類の形式上の取扱いについて注意を喚起したに過ぎないものであるという獨自の事實主張の下に昭和二二年勅令が第一號第一五條第一項の政治活動に當らないとするものである。しかるに原判決の認定した被告人の所爲は單にかゝる吏員に對し所論注意を喚起したにすぎ…