判旨
旧警察法上の政治活動の禁止に関し、本人の主観的な政治活動の意思の有無にかかわらず、現実の政治に影響を与えるような行動は政治活動に該当すると判断した。
問題の所在(論点)
公務員(警察職員等)の政治活動の禁止規定において、処罰対象となる「政治活動」の成否に、行為者の主観的な政治活動の意思が必要とされるか。
規範
「政治活動」の定義について、本人が政治活動をするという主観的な意思を有することは必要ではなく、客観的に「現実の政治に影響を与えると認められるような行動」にあたるか否かによって判断すべきである。
重要事実
被告人が特定の行為(具体的な行為内容は判決文からは不明)を行い、これが当時の警察法等により禁止されていた「政治活動」に該当するかが争われた。原審は被告人の行為を政治活動であると認定し処罰したが、被告人側は政治活動の意思がないこと等を理由に、当該認定が判例違反や憲法違反であると主張して上告した。
あてはめ
被告人の行為は、客観的にみて「現実の政治に影響を与えると認められるような行動」に該当する。本人が主観的に政治活動を行うという意図を持っていたか否かは、政治活動の成否を左右するものではない。したがって、被告人の行為を政治活動として処罰した原審の判断は相当であり、判例違反や憲法違反の瑕疵は認められない。
結論
本人の政治活動の意思は不要であり、現実の政治に影響を与える行動であれば政治活動に該当する。上告棄却。
実務上の射程
公務員の政治的中立性を確保するための制限規定における「政治活動」の概念を、主観的な意思ではなく客観的な影響力によって広く画定した。猿払事件等の後のリーディングケースにつながる初期の判断枠組みを示した点に意義がある。
事件番号: 昭和26(あ)2230 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」は、目的犯のように政治的目的ないし政治的意図を要件とするものではない。政府等の施策活動に関する論議であり、現実の政治に影響を与える行動であれば、主観的な目的の有無にかかわらず同条の活動に該当する。 第1 事案の概要:被告人が行った論議が、昭和22年勅…
事件番号: 昭和26(あ)761 / 裁判年月日: 昭和26年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙運動とは、特定の選挙につき、特定の候補者の当選を目的として、投票を得または得させるために直接または間接に有利な影響を与える行為をいう。本件では、被告人の行為が当該定義に該当し、公職選挙法等による制限の対象となることが示された。 第1 事案の概要:被告人は、昭和22年勅令第1号第15条第1項(当…
事件番号: 昭和25(あ)84 / 裁判年月日: 昭和25年2月21日 / 結論: 棄却
原判決が昭和二二年勅令第一號第一五条にいう「政治上の活動」の意義について、最高裁判所の判例に示された解釈に從つて被告人の行為を判断しているときは、たとえ判例の適用あやまつたとしても刑訴法第四〇五条第二號にいわゆる「判例と相反する判断をした」ということはできない。
事件番号: 昭和26(あ)1768 / 裁判年月日: 昭和26年7月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年勅令第1号15条1項にいう「政治上の活動」とは、現実の政治に直接又は間接の影響を及ぼすものと認められるような行動を指す。また、憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、裁判所の組織や構成において偏頗の恐れがないことを意味する。 第1 事案の概要:被告人が昭和22年勅令第1号(公職に関する就職…
事件番号: 昭和25(あ)1064 / 裁判年月日: 昭和25年6月29日 / 結論: 棄却
所論は要するに本件第一事實の被告人の所爲は、判示縣選舉管理委員會の吏員に對し書類の形式上の取扱いについて注意を喚起したに過ぎないものであるという獨自の事實主張の下に昭和二二年勅令が第一號第一五條第一項の政治活動に當らないとするものである。しかるに原判決の認定した被告人の所爲は單にかゝる吏員に對し所論注意を喚起したにすぎ…