判旨
数日間の間隔を置いて行われた複数の窃盗行為について、それらが一個の窃盗罪を構成するか、それとも併合罪(刑法45条)となるかが争われ、時間的接着性が認められない場合には包括一罪とはならず、数罪が成立すると判示された。
問題の所在(論点)
数日間の間隔を置いて行われた複数の窃盗行為が、刑法上の一個の窃盗罪として扱われるか、それとも別罪として併合罪の関係に立つか。
規範
連続して行われる同種の犯罪行為が包括して一個の罪(包括一罪)を構成するためには、犯意の単一性に加え、各行為が時間的・場所的に接着して行われるという実行行為の一体性が認められなければならない。
重要事実
被告人が複数の窃盗行為を行った事案において、それぞれの犯行は概ね3日間程度の時間的間隔を置いて行われていた。弁護人は、これらが一個の窃盗行為(包括一罪)にあたると主張して上告した。
あてはめ
本件における各犯行は、三日間位という相当な時間的間隔を置いて行われている。このように時間的接着性が欠如している場合、各実行行為の独立性が強く、全体を一体的な一個の窃盗行為と評価することはできない。したがって、個別の犯罪として成立すると解される。
結論
本件各犯行は一個の窃盗行為とはいえず、原判決の法令適用に誤りはない。よって、上告は棄却される。
実務上の射程
窃盗罪における包括一罪と併合罪の区別において「時間的接着性」を重視する基準を示した。数日単位の間隔がある場合、特段の事情がない限り包括一罪とは認められず、数罪(併合罪)として処理すべきとする実務上の指針となる。
事件番号: 昭和28(あ)5033 / 裁判年月日: 昭和29年10月12日 / 結論: 棄却
「パチンコ」機械裏側部品に、これを引けば玉の出るように紡績糸を結びつけた上、その紐の下端を前面玉出口に垂らしておき、客席において右紐を引き玉を不正に領得したときは、窃盗罪が成立する。