「パチンコ」機械裏側部品に、これを引けば玉の出るように紡績糸を結びつけた上、その紐の下端を前面玉出口に垂らしておき、客席において右紐を引き玉を不正に領得したときは、窃盗罪が成立する。
「パチンコ」機械に不正な仕掛をして玉を領得した場合と窃盗罪の成否
刑法235条
判旨
複数の犯罪行為が、それぞれ行われた期間、場所、被害物件の品質が異なる場合には、それらを各独立の犯罪として併合罪の規定を適用するのが相当である。
問題の所在(論点)
複数の犯罪行為について、包括一罪あるいは観念的競合とせず、独立した別罪として併合罪(刑法45条)を適用するための判断基準が問題となる。また、認定された事実が窃盗罪の構成要件を充たすか否かについても争点となった。
規範
刑法45条(併合罪)と罪数論において、複数の行為が包括一罪や一個の行為と評価されるためには、行為の場所・時間・目的の共通性や態様の連続性が必要である。これらが画然と区別される場合には、各行為は独立した犯罪となり、併合罪として処理される。
重要事実
被告人が行った複数の犯罪行為について、第一審判決は、各犯罪行為が行われた期間、被害の場所、および被害物件の品質がそれぞれ異なると認定した。これに基づき、第一審および原審は、これらを各独立の犯罪として併合罪の規定を適用したところ、被告人側が判例違反および窃盗罪の成否を理由に上告した事案である。
あてはめ
本件における各行為は、第1に犯罪が行われた期間において時間的間隔があり、第2に被害の場所も一箇所に限定されず、第3に被害物件の性質・品質も異なっている。これらの事実に照らせば、各行為の間に包括的な一罪として評価すべき単一性や連続性は認められず、それぞれが独立した法益侵害を構成するものといえる。したがって、これらを一罪として扱わず、併合罪として処理した判断は正当である。また、第二事実についても、証拠に照らし窃盗罪の成立を肯定した判断に違法はない。
結論
各犯罪行為の期間、場所、被害物件が異なる以上、併合罪を適用した原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
罪数決定において、時間的・場所的近接性や対象の同一性が欠ける場合には、併合罪として数罪を認めるべきとする実務上の基本原則を確認するものである。答案上では、行為の個数や罪数を検討する際、時間・場所・対象という3つのメルクマールを用いて個別性を基礎付ける際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)1143 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数日間の間隔を置いて行われた複数の窃盗行為について、それらが一個の窃盗罪を構成するか、それとも併合罪(刑法45条)となるかが争われ、時間的接着性が認められない場合には包括一罪とはならず、数罪が成立すると判示された。 第1 事案の概要:被告人が複数の窃盗行為を行った事案において、それぞれの犯行は概ね…