判旨
数日の間隔を置いて種類を異にする複数の物件を窃取した行為について、犯意の単一性が認められない場合には、包括一罪ではなく、併合罪として処理される。
問題の所在(論点)
数日にわたり、種類を異にする目的物を窃取した場合において、それらの行為が包括一罪となるか、それとも犯意の単一性が否定され数罪(併合罪)となるか。
規範
複数の犯罪行為が包括して一罪となるためには、時間的・場所的近接性のみならず、犯行の対象(目的物)の共通性や、犯行を貫く単一の犯意が認められることを要する。これらが欠ける場合には、各行為は独立した罪として併合罪(刑法45条前段)の関係に立つ。
重要事実
被告人が、1日ないし数日の時間的間隔を置いて、銅線、バピット(軸受合金)、砲金屑といった種類の異なる複数の物件を窃取した事案。弁護人は一連の行為が包括一罪であることを前提として上告したが、各行為の独立性が問題となった。
あてはめ
本件において、犯行日時は1日ないし数日の間隔を置いて行われており、時間的に完全に連続しているとは言い難い。また、窃取の対象とされた目的物も、銅線、バピット、砲金屑と多岐にわたり、その種類を異にしている。このような事実関係のもとでは、各犯行を貫く単一の犯意があったと認めることはできず、個別の犯意に基づく独立した行為であると評価される。
結論
被告人の各行為について犯意の単一性は認められず、包括一罪には当たらない。したがって、併合罪として処断した原判断は正当である。
実務上の射程
窃盗罪における包括一罪の成否を判断する際、日時の中断および目的物の非共通性が「犯意の単一性」を否定する重要な考慮要素になることを示した。実務上は、窃盗が反復された場合に、各行為の独立性を強調して併合罪とするか、一連の計画的犯行として包括一罪を主張するかの振り分け基準として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)1143 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数日間の間隔を置いて行われた複数の窃盗行為について、それらが一個の窃盗罪を構成するか、それとも併合罪(刑法45条)となるかが争われ、時間的接着性が認められない場合には包括一罪とはならず、数罪が成立すると判示された。 第1 事案の概要:被告人が複数の窃盗行為を行った事案において、それぞれの犯行は概ね…