判旨
新刑事訴訟法施行前に公訴提起された事件に関し、開廷の間隔が15日以上開いた場合であっても、裁判所が必要と認める場合に限り公判手続を更新すれば足り、その判断は裁判所の合理的な裁量に委ねられる。
問題の所在(論点)
旧刑訴法下の事件において、開廷の間隔が15日以上開いた場合に公判手続を更新しなかったことは、刑事訴訟規則施行規則3条3号に違反し、違法となるか。
規範
刑事訴訟規則施行規則3条3号に基づき、新刑訴法施行前に公訴提起があった事件については、開廷後引き続き15日以上開廷しなかった場合であっても、裁判所が必要と認めるときに限り公判手続を更新すれば足りる。この「必要と認める場合」の判断は、それまでの公判手続の進捗状況や審理の内容に照らし、裁判所の広範な裁量に属する。
重要事実
被告人は殺人等の罪に問われ、新刑訴法施行前に公訴提起された。原審において、前回の開廷から15日以上の空白期間が生じたが、原裁判所は公判手続の更新を行わなかった。なお、原審の最終口頭弁論期日では、検察官による事実陳述等を除くほぼすべての手続が既になされていた。弁護人は、15日以上の空白がある以上、公判手続を更新しないことは違法であると主張して上告した。
あてはめ
本件では、原審の最終口頭弁論期日より前に、検事の事実陳述等を除く実質的な公判手続がほぼ完了していた。このような審理状況に鑑みれば、改めて手続をやり直す(更新する)必要性は乏しいといえる。したがって、原審が手続を更新する必要がないと判断したことは、審理の継続性と迅速性の観点から相当であり、裁量の逸脱・濫用は認められない。
結論
公判手続を更新しなかったことに違法はなく、裁判所の裁量権の範囲内である。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法314条4項(公判手続の更新)の解釈において、同条の趣旨が裁判官の記憶の減退防止にあることを踏まえつつ、本判決は旧法下での経過措置に関する判断ではあるが、更新の要否に関する裁判所の合理的な裁量を認める際の論拠として参考にし得る。
事件番号: 昭和29(あ)2224 / 裁判年月日: 昭和31年4月17日 / 結論: 棄却
控訴審において公判期日を指定告知した後、弁護人から他の裁判所の公判があるため差支があるとの理由により二回にわたつて公判期日の変更申請があり、控訴審は第一回はこれを許したけれども第二回はこれを却下したのであるが、右申請はいずれも刑訴規則第一七九条の四所定の変更事由の疏明資料の添付なく且つ変更事由の継続期間も明らかにしてい…