舊刑訴法の下における控訴審は、純然たる覆審手續であるから、第一審における正當防衛の主張が控訴審においても當然主張されたと認めることはできない。
第一審における正當防衛の主張は控訴により第二審における主張となるか
舊刑訴法360條2項,舊刑訴法394條,舊刑訴法411條,舊刑訴法410條20號
判旨
旧刑事訴訟法下の控訴審は覆審手続であるため、第一審での主張が当然に控訴審でも主張されたとはみなされず、証拠調についても公判調書の記載により内容が特定できれば適法である。
問題の所在(論点)
1. 旧刑訴法下の控訴審において、第一審での主張が当然に判断対象となるか(判断遺脱の成否)。 2. 公判調書の記載により証拠調べの対象が特定されている場合、証拠調べの手続は適法か。
規範
旧刑事訴訟法における控訴審の性質は純然たる覆審手続である。したがって、第一審における主張が当然に控訴審においても主張されたと認めることはできず、控訴審で改めて主張されない限り、裁判所が判断を示さなくても判断遺脱の違法は生じない。また、証拠調べについては、公判調書の記載によって具体的に取り調べられた証拠品が特定でき、被告人への呈示等の手続が履行されていれば適法である。
重要事実
被告人が第一審において特定の主張(内容は判決文からは不明)を行っていたが、控訴審の段階では被告人および弁護人から当該主張がなされなかった。原審(控訴審)はこれに対して判断を示さなかった。また、証拠調べの手続において、公判調書には具体的な証拠品の記載があり、特に証拠品である刺身包丁については被告人に示され、被告人が犯罪供用物件である旨を認める供述をしていた。
あてはめ
1. 控訴審は覆審である以上、審理は改めて行われるべきものであり、第一審での主張が自動的に控訴審の判断対象に組み込まれるわけではない。本件では控訴審で当該主張がなされていないため、判断を示さずとも違法ではない。 2. 証拠調べについても、公判調書の記載から取り調べられた証拠品の内容が判明し、かつ刺身包丁等の重要証拠については被告人に呈示して弁解の機会を与えていることから、適正な手続が踏まれているといえる。
結論
本件上告を棄却する。原判決に判断遺脱の違法はなく、証拠調べの手続も適法である。
実務上の射程
旧法下の判例ではあるが、控訴審の構造(覆審か事後審か)と審判対象の関係を論じる際の参考となる。現行法下では控訴審は事後審(刑訴法372条以下)であるが、当事者の主張が審判対象を画定するという手続原則の理解に資する。
事件番号: 昭和25(あ)704 / 裁判年月日: 昭和25年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法411条は上告申立の理由を定めたものではなく、上告裁判所が職権で原判決を破棄し得る事由を定めたものである。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てた際、弁護人が上告趣意を提出したが、その内容は刑訴法405条に定められた上告事由(憲法違反、判例違反等)に該当しないものであった。一方で、原…