判旨
上告審において、原判決に違法がない限り、原判決の言い渡した刑を変更することは法律上許されず、事実審の裁量権の範囲内で行われた量刑は上告の適法な理由にならない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法下(および現行法下における量刑不当の主張)において、原判決に法令違反等の違法がない場合に、上告審が被告人の事情を考慮して刑を変更することが許されるか。
規範
上告審の役割は原判決の法令違反の有無を審査することにあり、原判決を破棄して自判すべき違法が認められない限り、原判決が言い渡した刑を変更することはできない。事実審がその裁量権の範囲内で適法に行った刑の量定に対する不服は、適法な上告理由には当たらない。
重要事実
被告人が、現在の心境や家庭の事情を理由に、二度と過ちを繰り返さないことを誓った上で、寛大な判決(刑の軽減)を求めて上告した事案。原判決に特段の法令違反(違法な点)は認められない状況であった。
あてはめ
被告人の主張は、自己の反省や家庭環境といった情状面を強調するものであるが、これらは事実審である原審が裁量権の範囲内で考慮すべき事項である。本件において職権で調査しても、原判決に破棄・自判を要するような違法な点は発見できない。したがって、原審の適法な量刑を非難する被告人の主張は、法律上の上告理由を構成しないと評価される。
結論
上告審において原判決に違法がない以上、刑の変更は許されないため、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法上の上告理由(405条等)の限定性を確認する際に用いられる。特に、単なる量刑不当(現行法406条、411条2号参照)を主張する場合に、それが法令違反等の「違法」に昇華されない限り、上告審での救済は原則として困難であることを示す。答案上は、上告審の事後審的性格や裁量権の限界を論じる際の基礎資料となる。
事件番号: 昭和26(れ)2196 / 裁判年月日: 昭和27年2月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が単なる事実誤認または量刑不当の主張にすぎず、刑訴法405条の適法な上告理由に該当しない場合には、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人Aが、第一審および控訴審の判決に対し上告を申し立てた事案。上告趣意書において主張された内容は、事実の認定に誤りがあること(事実誤認)および刑の重さが…
事件番号: 昭和25(れ)1120 / 裁判年月日: 昭和25年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の本件犯行前後の事情を述べて原判決の量刑不当を主張することは、上告の適法な理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、本件犯行前後の事情を主張して原判決を不服とし、量刑が不当であることを理由に上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):被告人が主張する「犯行前後の事情による…