判旨
上告理由が実質的に事実誤認の主張に帰する場合、当時の刑訴応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
弁護人が主張する上告趣旨が、法律上の上告理由として認められるか、あるいは単なる事実誤認の主張にすぎないかが問題となった。
規範
上告趣旨が結局のところ事実誤認の主張に帰する場合、それは法律上の上告理由(当時の刑訴応急措置法13条2項)を構成せず、不適法な上告として棄却される。
重要事実
被告人側から上告がなされたが、その上告趣旨の内容は、原判決の認定した事実関係を争うものであった。
あてはめ
本件の弁護人の主張を検討すると、その内容は結局のところ原判決の事実認定を争う「事実誤認」の主張に帰結するものである。したがって、当時の刑訴応急措置法が定める適法な上告理由を具備していないといえる。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法における上告審の構造(事後審・法律審)を前提とし、事実誤認を理由とする上告が原則として制限されることを示す。現在の刑事訴訟法405条等の上告理由の限定性に関する議論の端緒として理解される。
事件番号: 昭和26(れ)657 / 裁判年月日: 昭和26年8月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が単なる事実誤認の主張にすぎず、刑訴法405条の適法な上告理由に該当しない場合には、職権調査によっても判決を破棄すべき事由(同法411条)が認められない限り、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てた事案。上告趣意書において主張された内容は、原審の認定した…