控訴審において公判期日を指定告知した後、弁護人から他の裁判所の公判があるため差支があるとの理由により二回にわたつて公判期日の変更申請があり、控訴審は第一回はこれを許したけれども第二回はこれを却下したのであるが、右申請はいずれも刑訴規則第一七九条の四所定の変更事由の疏明資料の添付なく且つ変更事由の継続期間も明らかにしていない場合には、第二回目の申請を却下して公判を進行したからといつて弁護権を不法に制限したものということはできない。
弁護権の不法制限とならない事例
刑訴法276条1項,刑訴規則179条の4
判旨
刑事訴訟規則の定める様式を満たさない公判期日変更願を却下して公判を進行しても、直ちに弁護権を不法に制限したものとはいえず、公判手続は適法である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟規則の定める様式(疎明資料の欠如等)を満たさない公判期日変更願を裁判所が却下し、国選弁護人を付して公判を進行させることが、弁護権の不当な制限や憲法違反にあたるか。
規範
裁判所による公判期日変更願の却下および公判の進行の適法性は、申請が刑事訴訟規則(当時179条の4)所定の様式(変更事由の疎明資料の添付、変更事由の継続期間の明示等)を遵守しているか、および手続全体の経過に照らして被告人の防御権や弁護権が不当に侵害されているかによって判断される。
重要事実
原審弁護人は、指定された第1回公判期日について変更願を提出し、裁判所はこれを認めて期日を変更した。その後、弁護人は再度(2回目)の変更願を提出したが、この申請には規則で定められた変更事由の疎明資料の添付がなく、変更事由の継続期間も明らかにされていなかった。裁判所はこの2回目の変更願を却下し、変更後の期日に公判を開き、国選弁護人を立ち会わせて意見を陳述させる手続をとった。
あてはめ
本件における弁護人の変更願は、前後2回にわたり疎明資料の添付や継続期間の明示を欠いており、刑事訴訟規則の定める様式を踏まないものであった。裁判所は1回目の申請には配慮して期日を変更しており、様式不備のまま出された2回目の申請を却下したことは、不合理な裁量権の行使とはいえない。また、公判当日は国選弁護人が立ち会い意見を述べていることから、弁護人の立場を無視したり、被告人の利益を蹂躪した事実は認められない。
結論
本件の公判手続は適法に行われており、弁護権の不当な制限や違憲の主張は採用できない。
実務上の射程
公判期日の変更は裁判所の裁量に属するが、弁護人がその権利を適切に行使するためには規則所定の形式を整える必要がある。形式不備がある場合の却下は、弁護権の侵害にはならないとする実務上の指針となる。
事件番号: 昭和25(れ)893 / 裁判年月日: 昭和27年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】新刑事訴訟法施行前に公訴提起された事件に関し、開廷の間隔が15日以上開いた場合であっても、裁判所が必要と認める場合に限り公判手続を更新すれば足り、その判断は裁判所の合理的な裁量に委ねられる。 第1 事案の概要:被告人は殺人等の罪に問われ、新刑訴法施行前に公訴提起された。原審において、前回の開廷から…