判旨
裁判所による再鑑定の請求の却下は、原審の合理的な裁量に属する事項であり、鑑定書に不明確な点がない限り、これを違法とすることはできない。
問題の所在(論点)
裁判所が被告人側の再鑑定請求を却下することが、裁判所の裁量権の範囲内として許容されるか。
規範
鑑定の必要があるか否か、および一度なされた鑑定に対し再鑑定を命じるか否かは、裁判所の裁量に属する。既に提出された鑑定書に内容の不明確な点や著しい不合理性が認められない場合には、再鑑定の請求を却下しても、裁量権の逸脱・濫用には当たらない。
重要事実
被告人の弁護人が、原審における鑑定結果に不服を唱え、再鑑定を請求した事案。原審はこの請求を却下した。これに対し弁護人は、鑑定書に不明確な点があるにもかかわらず再鑑定を却下したのは不当であるとして上告した。
あてはめ
本件における鑑定書を精査すると、弁護人が主張するような内容の不明確な点は認められない。したがって、鑑定結果を証拠として採用し、さらなる再鑑定の必要がないと判断して請求を却下した原審の決定は、裁量の範囲内にあると評価できる。
結論
再鑑定の請求を却下した原審の判断に違法はなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における証拠調べの必要性判断(裁量権)に関する判例である。答案上は、被告人側が請求した再鑑定が却下された際の違法性を検討する場面で、証拠の関連性や必要性の判断が裁判所の広範な裁量に属することの根拠として引用できる。
事件番号: 昭和22(れ)317 / 裁判年月日: 昭和23年7月6日 / 結論: 棄却
一 裁判所は人の精神状態を認定するのに必ずしも專門家の鑑定等による必要なく、他の證據によつて認定しても差支ない。 二 心神耗弱とか心神喪失とかいうことは刑事訴訟法第三六〇條にいう處の罪となるべき事實ではないから、これを認定した證據の説明をする必要はない。 三 所論改正刑法施行以前に第二審判決が爲された事件に付ては所論執…