昭和二四年法律第四三號による改正前の酒税法第一四條第六〇條の罪は、政府の免許を受けないで酒類を製造することによつて成立するものであつて、その製造が自家用の目的に出でたると販賣の目的に出でたるとは罪の成否並びにその決定刑に何等の關係のないところである。
昭和二四年法律第四三號による改正前の酒税法第一四條同第六〇條の罪の成否と酒類製造の目的との關係
酒税法14條,酒税法60條(昭和24年法律42號による改正前)
判旨
酒税法違反(無免許製造)の罪は、政府の免許を受けずに酒類を製造することで成立し、その目的が自家用か販売用かは構成要件の成否や法定刑に影響しない。
問題の所在(論点)
酒税法における無免許製造罪の成立において、製造の目的(販売目的か否か)が構成要件要素となるか、あるいは法定刑の加減に関わるか。
規範
旧酒税法14条、60条の罪は、政府の免許を受けないで酒類を製造することによって成立する。製造の目的が自家用か販売用かは、罪の成否および法定刑のいずれにも影響を及ぼさない。
重要事実
被告人は、政府の免許を受けずに酒類を醸造したとして、旧酒税法違反で起訴された。被告人は、当該醸造が販売目的ではなく自家用目的であったと主張し、罪の不成立または量刑の不当を訴えて上告した。
あてはめ
本件に適用される旧酒税法によれば、罰則の適用要件は「政府の免許を受けないで酒類を製造すること」のみである。原判決が醸造の目的について特段の認定をしていないとしても、製造の事実がある以上、構成要件に該当する。したがって、販売目的の欠如を理由とする無罪主張や、目的の如何による量刑不当の主張は、法文の解釈上、いずれも認められない。
結論
被告人の行為は、販売目的の有無にかかわらず無免許製造罪を構成し、有罪とした原判決に違法はない。
実務上の射程
酒税法上の無免許製造罪が、営利目的を必要としない「挙動犯・単純不作為犯的性質」を持つことを明示した。行政上の規制目的を達するための形式犯的解釈として、答案上は目的の有無が犯罪成立に影響しないことの根拠として利用できる。
事件番号: 昭和25(あ)2976 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
単にアルコールを水で稀釈した本件被告人の行為は酒類の製造に当らないと主張するが、原判示のごとくそれが「雑酒の製造」に当ると認めるを相当とする。