酒税法第五條に「本條に於て合成清酒とはアルコール、焼酒又は清酒と他の物品とを混和して製造したる酒類にして其の香味、色澤其の他の性状が清酒に類似するものを謂う」とあるのは、既成のアルコール焼酒又は清酒と他の物品とを混和して製造する過程中に他の物品と混和して製造するとを問わないものと解するを相當とする。
酒税法第五條の意義
酒税法5條
判旨
酒税法における「合成清酒」の定義は、既成のアルコール等を混和する場合のみならず、製造過程において新たにアルコール等を製成すると共に他の物品を混和する場合も含むと解するのが相当である。
問題の所在(論点)
酒税法上の「合成清酒」の定義における「混和」の解釈、および無免許酒類製造罪の成立要件(酒類分類の特定が構成要件に及ぼす影響)。
規範
酒税法5条(当時)にいう「アルコール、焼酎又は清酒と他の物品とを混和して製造したる酒類」とは、既成のアルコール等と他物品を混和して製造する場合だけでなく、新たにアルコール等を製造する過程において他の物品と混和して製造する場合をも含む。また、無免許酒類製造罪は、アルコール分1度以上の飲料を免許なく製造すれば成立し、酒類の詳細な分類に齟齬があっても犯罪の成立自体に差異は生じない。
重要事実
被告人は、免許を受けることなく、酒精分13.2%を含有する飲料を製造した。この製造過程において、被告人は焼酎を製成すると共に、これに薬品等の他の物品を混和することで、清酒に類似した性状の飲料(合成清酒)を完成させた。原判決はこれを酒税法違反(無免許製造)と認定したが、弁護人は、製造過程で混和した場合は法定の「合成清酒」の定義に当たらない、あるいは証拠上の誤記がある等として上告した。
あてはめ
本件飲料は、製造過程で焼酎が製成されると共に薬品等が混和され、酒精分13.2%を含有し清酒に類似した性状を有している。法が「混和して製造」と規定するのは製造工程の前後を問う趣旨ではないため、本件の製法も合成清酒の定義に該当する。また、仮に当該飲料が厳密な意味で合成清酒以外の酒類に分類される余地があったとしても、アルコール分1度以上の飲料を無免許で製造した事実に変わりはなく、罰則規定(改正前酒税法60条1項、14条)の適用に影響はない。
結論
被告人が製造した飲料は酒税法上の合成清酒に該当し、免許を受けずにこれを製造した行為について無免許酒類製造罪が成立する。
実務上の射程
酒税法上の酒類定義の広汎性を確認した判例である。実務上、無免許製造罪の成否を論ずる際、被告人が製造した物品が「酒類」に該当する限り、詳細な分類(合成清酒か否か等)に多少の疑義があっても、可罰性に影響しないことを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和32(あ)11 / 裁判年月日: 昭和33年4月24日 / 結論: その他
飲食店の経営者が、店内において客から依頼されてその嗜好に応ずるため、自ら無免許で製造した清酒(五勺)と市販の焼酎(五勺)とを調和混合して(合計一合)提供する行為は、酒類の製造にあたらない