合成清酒を製造する意思でその前提として焼酎を製造したものではなく、免許を受けないで一回の仕込みにより焼酎を製造し、その一部を原料としてさらに合成清酒を製造した場合には、その仕込みは一回であつても、二個の酒類無免許製造の罪が成立する。
免許を受けずに焼酎を製造しさらにその一部をもつて合成清酒を製造した場合と罪数。
酒税法(昭和28年2月28日法律第6号による改正前のもの)14条,酒税法(昭和28年2月28日法律第6号による改正前のもの)60条1,酒税法(昭和28年2月28日法律第6号による改正前のもの)60条2,刑法45条
判旨
無免許で酒類を製造した際、一回の仕込みで製造された焼酎の一部を原料としてさらに合成清酒を製造した場合には、焼酎製造罪と合成清酒製造罪の二罪が成立する。
問題の所在(論点)
一回の仕込みによって製造された焼酎の一部を原料として、さらに合成清酒を製造した場合において、酒税法違反の罪数は、包括的一罪となるか、それとも焼酎製造罪と合成清酒製造罪の二罪が成立するか。
規範
一回の製造過程(仕込み)から得られた中間生成物であっても、それが独立した酒類(焼酎)として完成しており、さらに別種の酒類(合成清酒)を製造する工程が加えられた場合には、それぞれの製造行為ごとに独立した罪が成立する。当初から後者の酒類を製造する一貫した意思が認められない限り、先行する酒類の製造行為は後行の製造行為に吸収されない。
重要事実
被告人は、政府の免許を受けずに、麦、米麹、水を原料として仕込みを行い、焼酎一斗二升四合を製造した(第一の事実)。さらに、同日頃、右と同様の方法で製造した焼酎(第一の焼酎と同時に一回の仕込みで製造されたもの)約一斗二升五合に、黄色粉と砂糖を投入して混和し、合成清酒約一斗二升五合を製造した(第二の事実)。
あてはめ
本件において、第一の焼酎と第二の合成清酒の原料となった焼酎が一回の仕込みにより製造されたことは明らかである。しかし、被告人が当初から合成清酒を製造する意思を有し、その前提として焼酎を製造したという事実は認められない。したがって、焼酎を製造した段階で一つの製造行為が存し、その焼酎を原料としてさらに合成清酒を製造した段階で別の製造行為が存すると評価できる。
結論
被告人には焼酎製造罪と合成清酒製造罪の二罪が成立し、併合罪として処断される。
実務上の射程
製造過程が連続していても、各段階で製品として独立した性質を有するものが生成されている場合、主観的な一貫性(当初からの製造計画等)が立証されない限りは別個の製造罪が成立することを示唆している。実務上は、製造の意思の範囲と、工程の物理的・時間的な分離の有無が罪数決定の考慮要素となる。
事件番号: 昭和26(あ)1866 / 裁判年月日: 昭和27年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】酒類製造の目的で醪(もろみ)を製造した行為と、その後に焼酎を製造した行為は、時期や対象が別個のものである限り、一個の犯罪ではなく併合罪として処理される。 第1 事案の概要:被告人は、昭和25年4月2日頃に醪6斗を製造し、同月10日頃にアルコール分21度の焼酎2斗7升を製造した(第一事実)。さらに、…