免許を受けないで焼酎を製造し、その後合成清酒製造の意思を生じ、右製造にかかる焼酎の一部を原料としてさらに合成清酒を製造した場合には、焼酎無免許製造の罪と合成清酒無免許製造の罪の二罪が成立する。
免許を受けないで焼酎を製造しさらにその一部をもつて合成清酒を製造した場合と罪数
酒税法(昭和25年11月30日法律第252号による改正後、昭和26年3月31日法律第78号による改正前のもの)60条1項,酒税法(昭和25年11月30日法律第252号による改正後、昭和26年3月31日法律第78号による改正前のもの)3条,酒税法(昭和25年11月30日法律第252号による改正後、昭和26年3月31日法律第78号による改正前のもの)14条,酒税法(昭和25年11月30日法律第252号による改正後、昭和26年3月31日法律第78号による改正前のもの)15条1項,刑法45条1項
判旨
酒類製造免許を受けずに、まず焼酎を製造し、その後に一部を原料として合成清酒を製造した行為は、製造の意思および客観的行為が別個に存在するため、酒税法違反の二罪が成立する。
問題の所在(論点)
一の酒類を製造し、それを原料として更に別種の酒類を製造した場合に、無免許酒類製造罪が各種類ごとに別罪として成立するか、それとも一罪にとどまるか。
規範
無免許酒類製造罪は、酒税法上の「酒類の各種類」ごとに政府の免許を要するとの規定に基づき、原則として製造にかかる酒の種類ごとに成立する。また、先行する酒類の製造行為と、それを原料として後続の別種の酒類を製造する行為が別個の罪を構成するか否かは、主観的な製造の意思の連続性や客観的な製造過程の区別に照らして判断される。
重要事実
被告人は、免許を受けずに米等を原料として焼酎を製造した(第一の行為)。その一週間後、当該焼酎の一部に添加物を加えて合成清酒を製造した(第二の行為)。被告人は当初から合成清酒を作るつもりではなく、焼酎が完成した後に気が変わってその一部を合成清酒に加工したものであった。
あてはめ
酒税法は酒類の種類ごとに製造免許を求めているため、原則として種類ごとに罪が成立する。本件では、被告人は当初焼酎を作る意思のみを有しており、焼酎の製造が完了した後に、別個の意思に基づき合成清酒を製造している。したがって、第一の焼酎製造行為と、その後の合成清酒製造行為は、主観的にも客観的にも別個の行為であると評価できる。
結論
被告人には焼酎無免許製造罪と合成清酒無免許製造罪の二罪が成立し、併合罪として処断される。上告棄却。
実務上の射程
数個の行為が連続して行われた場合の罪数判断(単一性・同一性)に関する事例である。当初から最終製品までの製造を意図していた場合には包括一罪となる余地があるが、本件のように製造過程で意思が切り替わった場合には、各行為が独立した犯罪として評価されることを示唆している。
事件番号: 昭和26(あ)1866 / 裁判年月日: 昭和27年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】酒類製造の目的で醪(もろみ)を製造した行為と、その後に焼酎を製造した行為は、時期や対象が別個のものである限り、一個の犯罪ではなく併合罪として処理される。 第1 事案の概要:被告人は、昭和25年4月2日頃に醪6斗を製造し、同月10日頃にアルコール分21度の焼酎2斗7升を製造した(第一事実)。さらに、…