舊刑訴法第二八五條が公訴時効の中斷事由の一つとして規定している公判の處分中には、裁判長の公判期日の指定をも含むものと解すべきであつて(昭和六年(れ)第一三七一號事件昭和六年一二月一六日言渡大審院判決參照)しかも時効中斷の効力を生ずるためには、裁判長の公判期日指定の命令が被告人その他の者に告知されることを要しないのである。けだし、同條に規定する公訴時効の中斷は、檢察官裁判所若しくは裁判官の手續上の處分行爲自体によつて行われるのであり、從つて裁判長の公判期日指定の命令は、所論のように送達若しくは送達機關への交付を待たないでも命令書の作成によつてその處分行爲の行われたことを知ることができるからである。
裁判長の公判期日の指定と公訴時効の中斷
舊刑訴法285條,舊刑訴法320條1項
判旨
旧刑訴法下の公訴時効中断事由である「公判の処分」には裁判長の公判期日指定が含まれ、その効力発生に被告人等への告知は不要である。時効中断は手続上の処分行為自体によって生じるため、命令書の作成により処分が行われたと認められる。
問題の所在(論点)
旧刑訴法285条(現行刑訴法254条等に関連)の公訴時効中断事由である「公判の処分」に裁判長の公判期日指定が含まれるか。また、その効力発生のために被告人への告知が必要か。
規範
公訴時効の中断は、検察官、裁判所または裁判官の手続上の処分行為自体によって行われる。したがって、裁判長の公判期日指定の命令は、送達や告知を待たず、命令書の作成によって処分の効力が生じ、時効中断の効果をもたらすものと解する。
重要事実
被告人両名は、戸別訪問等を行ったとして起訴された。第一審判決が昭和23年6月4日に言い渡された後、控訴審において原審裁判長が昭和23年12月1日に公判期日を昭和24年1月11日と指定した。弁護人は、この期日指定が被告人に告知されていない以上、時効中断の効力は生じず、公訴時効が完成していると主張して上告した。
事件番号: 昭和24(れ)34 / 裁判年月日: 昭和24年6月25日 / 結論: 棄却
公訴の時効中斷の事由として舊刑訴法第二八五條第一項に規定してある公判の處分というのは公判裁判所における當該事件に關する處分行爲を指すものであるが公判における裁判長の期日の指定並びにその變更は舊刑訴法第三二〇條第一項並びに同第三二二條の規定による裁判長の命令であるから公判裁判所における一の處分行爲として前記舊刑訴法第二八…
あてはめ
本件における原審裁判長の公判期日指定は、第一審判決から6ヶ月以内である昭和23年12月1日に行われている。公訴時効の中断は、公的機関による手続上の処分行為そのものに基礎を置くものである。裁判長が公判期日指定命令を作成した時点で、客観的に処分が行われたことが確認できるため、送達や送達機関への交付を待つまでもなく、当該命令によって時効は有効に中断されたといえる。
結論
公判期日指定により公訴時効は中断されており、時効完成を認めなかった原判決に違法はない。上告棄却。
実務上の射程
現行刑訴法下においても、公訴時効の中断事由である「公訴の提起」(254条1項)や「裁判の執行の停止」等の解釈において、処分行為の性質(いつ効力が生じるか)を検討する際の参考となる。特に、告知を要件とせず「処分時」を基準とする考え方は、国家の手続進行を優先する時効中断制度の趣旨を示すものとして位置付けられる。
事件番号: 昭和25(あ)2461 / 裁判年月日: 昭和26年7月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定における経験則違反や採証の誤りの主張は、単なる訴訟法違反の主張にすぎず、刑訴法405条所定の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人Bら5名が、被告人Aに対し、特定の目的をもって一定額の金員を供与したという共謀及び事実につき、第一審判決が認定した。弁護人は、この認定が経験則に反す…
事件番号: 昭和24(れ)1909 / 裁判年月日: 昭和25年4月26日 / 結論: 棄却
一 被告人および第一審相被告人A(選舉事務長)、B、C)いづれも選舉運動者)が戸別訪問をしたのは、被告人が立候補するにつき推薦人になつてもらうためであつて、投票を得る目的でなかつたことは、原判決引用の聽取書の残りの部分に記載されているにもかゝわらず、原判決が投票を得る目的で戸別訪問をしたとも取れる部分のみを引用して有罪…
事件番号: 昭和26(れ)1203 / 裁判年月日: 昭和26年10月25日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二五二条及び衆議院議員選挙法第一三七条の選挙権被選挙権の停止に関する規定は、「公職選挙法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律」第二五条第一項にいわゆる「罰則」にあたる。