刑訴應急措置法附則の規定によれば、刑事訴訟法の規定により上告することができるのは刑訴應急措置法の施行前に終結した辯論に基いて言い渡された判決に對してだけであるから、たとえ犯行が憲法の施行前であつても右の要件を缺いた本件については刑訴應急措置法の規定によらなければ上告することはできない。そして、同法第一三條第二項によれば所論のような事由による上告は許されないのであるから論旨は適法な上告理由ではない。
憲法施行前の犯行に對し刑訴應急措置法施行後に終結した辯論に基き言渡された判決に對する上告の根據法規
刑訴應急措置法附則4項,刑訴應急措置法13條2項
判旨
日本国憲法施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律の施行後においては、旧刑事訴訟法に基づく事実誤認や量刑不当を理由とする上告は認められない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法の適用下で行われた犯行について、新憲法下の刑事訴訟手続(刑訴応急措置法)において、事実誤認や量刑不当を理由とする上告が認められるか。
規範
「日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律」附則規定によれば、旧刑事訴訟法の規定により上告できるのは、同法施行前に終結した弁論に基づいて言い渡された判決に対してのみである。同法13条2項に基づき、事実誤認や刑の量定の不当を理由とする上告は認められない。
重要事実
被告人は犯行に及んだが、その時期は日本国憲法の施行前であった。弁護人は、原判決に事実の誤認があること、および原審の刑の量定が著しく不当であることを理由として上告を申し立てた。本件の弁論終結および判決言い渡しの時期が刑訴応急措置法の施行後であったかについては判決文からは不明だが、同法の適用を受ける事案であった。
あてはめ
本件の上告理由は事実誤認および量刑不当であるが、これらは刑訴応急措置法13条2項において適法な上告理由として認められていない。また、同法附則によれば旧法による上告が許容されるのは施行前の弁論終結事案に限られるところ、本件は刑訴応急措置法の規定に従うべき事案である。したがって、所論の事由は適法な上告理由に当たらないと評価される。
結論
事実誤認および量刑不当を理由とする上告は認められず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
新旧刑事訴訟法の過渡期における手続適用の基準を示したもの。現代の司法試験においては、法令の改正に伴う経過措置の解釈や、上告理由の法定性(刑事訴訟法405条等)を確認する際の歴史的参照点として機能する。
事件番号: 昭和25(あ)2461 / 裁判年月日: 昭和26年7月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定における経験則違反や採証の誤りの主張は、単なる訴訟法違反の主張にすぎず、刑訴法405条所定の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人Bら5名が、被告人Aに対し、特定の目的をもって一定額の金員を供与したという共謀及び事実につき、第一審判決が認定した。弁護人は、この認定が経験則に反す…
事件番号: 昭和25(れ)1830 / 裁判年月日: 昭和26年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴応急措置法13条2項に基づき、原審における事実誤認や量刑不当の主張は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBの弁護人は、原審の判決において事実の誤認があること(上告趣意第1点)、および被告人らに対する原審の量刑が不当であること(上告趣意第2点)を理由として上告を申し…
事件番号: 昭和26(あ)664 / 裁判年月日: 昭和26年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認および量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条に規定される適法な上告理由には該当しない。 第1 事案の概要:被告人が事実誤認および量刑不当を理由として上告を申し立てた事案(具体的な犯罪事実は判決文からは不明)。 第2 問題の所在(論点):事実誤認または量刑不当の主張が、刑事訴訟法405条所定の…