公訴の時効中斷の事由として舊刑訴法第二八五條第一項に規定してある公判の處分というのは公判裁判所における當該事件に關する處分行爲を指すものであるが公判における裁判長の期日の指定並びにその變更は舊刑訴法第三二〇條第一項並びに同第三二二條の規定による裁判長の命令であるから公判裁判所における一の處分行爲として前記舊刑訴法第二八五條第一項にいわゆる公判の處分に該當するものと解すべきである。そして裁判長の期日の指定又はその變更は一つの獨立した訴訟法上の行爲であつて性質上はその期日における召喚手續とは別個のものである。それゆえ期日の指定又は變更の處分のあつた以上それ自體によつて時効中斷の効力を生ずるものと云わなくてはならないものであつてその期日における召喚手續が適法有効になされたか否やには關係のないのである、從つて召喚手續が不敵法又は無効であつたが爲めに期日指定の處分そのものが無効であると云うことはできないのである。
舊刑訴法第二八五條第一項の公判の處分の意義と公判における裁判長の期日の指定並びにその變更による公訴時効の中斷
舊刑訴法285條1項,舊刑訴法320條1項,舊刑訴法322條
判旨
裁判長による公判期日の指定およびその変更は、いずれも裁判所の処分として公訴時効を中断させる効力を有する。また、期日の指定・変更の効力は独立した訴訟行為として発生するため、その後の召喚手続の適否に左右されない。
問題の所在(論点)
裁判長が行う公判期日の指定および変更が、公訴時効を中断させる「公判の処分」に該当するか。また、召喚手続が不適法な場合に期日指定による時効中断の効力が否定されるか。
規範
公訴時効の中断事由たる「公判の処分」とは、公判裁判所における当該事件に関する処分行為を指す。裁判長による公判期日の指定およびその変更は、裁判長の命令であり「公判の処分」に該当する。これらの処分は独立した訴訟法上の行為であるから、処分がなされたこと自体によって時効中断の効力が生じ、後の召喚手続の適法・有効性とは関係なく効力を維持する。
事件番号: 昭和25(れ)212 / 裁判年月日: 昭和25年4月25日 / 結論: 棄却
舊刑訴法第二八五條が公訴時効の中斷事由の一つとして規定している公判の處分中には、裁判長の公判期日の指定をも含むものと解すべきであつて(昭和六年(れ)第一三七一號事件昭和六年一二月一六日言渡大審院判決參照)しかも時効中斷の効力を生ずるためには、裁判長の公判期日指定の命令が被告人その他の者に告知されることを要しないのである…
重要事実
裁判長が昭和22年12月10日に公判期日を同月22日と指定したが、同期日の召喚状は期日経過後の昭和23年1月23日に被告人に送達された。また、裁判長は昭和22年12月13日に前記期日を変更し、次回期日は追って指定する旨を命じていた。被告人は、召喚手続の不備や変更の性質を理由に、これらの行為による時効中断の効力を否定し、時効の完成を主張した。
あてはめ
裁判長による期日の指定および変更は、いずれも裁判長の命令であり、公判裁判所の処分行為にあたる。また、期日の指定・変更はそれ自体が独立した訴訟行為であり、性質上、後の召喚手続とは別個のものである。本件において召喚状が期日後に送達されたという手続上の不備は、召喚手続自体を不適法にするにとどまり、先行する期日指定行為自体の効力を左右するものではない。したがって、本件の指定および変更の命令により、適法に時効中断の効力が生じているといえる。
結論
裁判長による公判期日の指定および変更は時効中断の効力を生じさせる。召喚手続の瑕疵は期日指定の効力に影響しないため、時効は完成しておらず、弁護人の主張は理由がない。
実務上の射程
現行刑訴法254条1項の「公判の処分」の解釈においても同様の枠組みが維持されている。実務上、裁判所側の不手際(召喚遅延等)があったとしても、期日指定という裁判所の意思決定がなされた時点で時効中断の効力が確定的に発生することを示す。答案上は、時効中断の成否が争点となる事案で、手続的瑕疵の連鎖を遮断する論拠として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)488 / 裁判年月日: 昭和24年7月26日 / 結論: 棄却
原審公判調書における所論挿入の額の欄外には「一行挿入」と記載あり、右挿入の部分には裁判所書記の印が押してある。其故欄外に挿入の字數を記さず「一行挿入」と記したことだけが舊刑事訴訟法第七二條所定の方式に合して居なくても、その挿入削除が筆跡其他から權限ある裁判所書記によつてなされたものと認められるときはこれを無効とすべきも…
事件番号: 昭和24(れ)307 / 裁判年月日: 昭和26年5月2日 / 結論: 棄却
議員選挙に際してその候補者となろうとする者が、いわゆる追放令による覚書非該当者の確認を求めるため、確認の申請をする以前に、立候補の決意を固め自己の当選を得る目的で他人に対し選挙運動を依頼し且つ投票取まとめのための資金を供与した場合には、事前運動及び金銭供与の選挙犯罪が成立することは明らかである。それは、後になつて審理の…