原判決が證據とした證人の證言は僞證であるから再審の請求を爲し得べき場合にあたる事由があるとの主張は結局事實誤認の主張で上告適法の理由とならないのみならず、舊刑訴法第四八五條第二號の事由ありとするにはその證言が確定判決で僞證罪として確定されたことを要する。
原判決が證據とした證言は僞證であるとして舊刑訴法第四一三條による上告申立をするときの要件
舊刑訴法485條2號,舊刑訴法413條,刑訴應急措置法13條
判旨
検察官が特定の現物(半袖シャツ)の横領として起訴したのに対し、裁判所がその売却代金の横領、あるいは再び現物の横領と認定したとしても、公訴事実の同一性の範囲内であり、裁判所の自由な事実認定として許容される。
問題の所在(論点)
検察官が特定の現物を横領したとして起訴した事案において、第一審が代金の横領と認定し、第二審が再び現物の横領と認定した場合、公訴事実の同一性の範囲を逸脱し、裁判所の審判権の限界を超えないか。
規範
公訴事実の同一性(刑事訴訟法312条1項参照)の範囲内であれば、裁判所は検察官の主張する具体的構成にとらわれず、証拠に基づき良心に従って正しい事実認定・法律判断を行うことができる。訴因に変更があっても、同一の事件に関する限り、公訴事実の同一性を逸脱するものではなく、裁判所の判断の遺脱にも当たらない。
重要事実
被告人が半袖シャツを横領したとして検察官が起訴した。第一審は、被告人が当該半袖シャツを売却した「代金」を横領したと判断した。これに対し、第二審(原審)は再び「半袖シャツその物」を横領したと認定した。被告人側は、このような認定の変遷が不当であり、公訴事実の同一性を欠く事件を審判したものである等と主張して上告した。
あてはめ
本件において、検察官は半袖シャツその物の横領を訴因として起訴している。これに対し、第一審が代金の横領と判断し、第二審が現物の横領と判断したとしても、それは起訴に係る「同一の事件」についての事実認定および法律判断の差異にすぎない。各裁判所が証拠に基づき良心に従って認定した結果であり、公訴事実と同一性のない事件を審判したことにはならない。したがって、手続上の違法や判断の遺脱は認められない。
結論
起訴された事実と認定された事実が公訴事実の同一性の範囲内にある限り、第一審と第二審で横領の対象(現物か代金か)に関する認定が異なっても適法である。
実務上の射程
訴因変更の要否に関する議論の前段階として、公訴事実の同一性の範囲内での裁判所の認定権限を示す。特に、横領罪において目的物そのものか売却代金かの認定が揺れ動く場合でも、社会通念上同一の事実と評価される限り、審判対象の同一性は失われないことを確認する際に活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)2745 / 裁判年月日: 昭和26年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審裁判所の証拠の取捨および事実認定を新たに非難することは、刑事訴訟法405条所定の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が第一審裁判所の行った証拠の取捨および事実認定について不服を申し立て、上告を提起した事案である。 第2 問題の所在(論点):第一審裁判所による事実認定や証拠の取捨…