判旨
戦後の法的過渡期において、法令の定めに基づき特定の地域が外国とみなされる場合、当該地域との間で行われる物品の輸出入は関税法上の規制対象となる。
問題の所在(論点)
関税法104条及び昭和23年大蔵省令59号の規定に基づき、特定の島嶼地域を「外国」とみなして関税法を適用することが認められるか。
規範
関税法等の国内法令に基づき、特定の地域が外国とみなされる場合には、その地域は関税法上の「外国」に該当し、当該地域との間で行われる物品の移動には関税法が適用される。
重要事実
被告人は、当時法的地位が特異な状況にあった「a島」との間で物品の移動を行った。これに対し、関税法違反(無許可輸出入等)の罪で起訴された。弁護人は、犯行当時において当該地域が「外国」であったとすることには法令違反がある旨を主張して上告した。
あてはめ
本件におけるa島は、関税法104条および昭和23年7月7日大蔵省令59号の規定により、法的に外国とみなされるべき状況にあった。したがって、同島との間で行われた物品のやり取りは、関税法上の輸出入行為に該当すると評価される。
結論
被告人の行為は関税法に違反し、上告は棄却される。
実務上の射程
戦後の特殊な領土・行政権の解釈に関する事例であるが、公法上の概念(外国)が実体法や省令等の委任規定によって画定される際、その法的根拠を重視する姿勢を示している。現代の試験対策としては、法令による定義規定が刑罰法規の適用範囲を決定する際の解釈手法として参照し得る。
事件番号: 昭和27(あ)3230 / 裁判年月日: 昭和28年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】関税法および貿易等臨時措置令の適用に関し、南西諸島奄美大島は法令により外国とみなされるため、同地域への物資の移送等は輸出入に関する規制の対象となる。 第1 事案の概要:被告人が奄美大島との間で物資の取引等を行った行為について、関税法や貿易等臨時措置令違反が問われた。上告人は、奄美大島が日本の主権下…
事件番号: 昭和27(あ)3030 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】関税法違反と貿易等臨時措置令違反が同一の行為により成立する場合、両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係に立ち、最も重い刑により処断される。 第1 事案の概要:被告人は、輸入貨物である中双糖及び含密糖の密輸入に関連して、関税法違反および貿易等臨時措置令(後の外国為替及び外国貿易管理法)違反の罪に…
事件番号: 昭和27(れ)122 / 裁判年月日: 昭和28年1月16日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】戦後の特殊な政治的状況下においても、台湾出身者を含む共犯者が存在する場合、原則として日本の刑事裁判権に服すべきであり、裁判権の欠如を理由とする控訴棄却や無罪判決は認められない。 第1 事案の概要:被告人は綿糸や砂糖等の統制額を超えた販売、および関税法違反の罪に問われた。弁護側は、共犯者とされるBが…