判旨
起訴状に記載された表現が一定の趣旨であると合理的に解釈できる場合、その解釈に従って認定された事実は、訴因以外の事実について審理したものとはいえない。
問題の所在(論点)
起訴状に記載された文言の趣旨を合理的に解釈して事実認定を行うことが、訴因外の事実を審判したこと(刑事訴訟法における不告不理の原則違反)にあたるか。
規範
裁判所が判決において認定した事実が、起訴状に記載された訴因の趣旨から合理的に導き出される範囲内にある場合には、訴因外の事実を認定したものとはならず、訴因との同一性が認められる。
重要事実
被告人が関税法違反等で起訴された際、起訴状には「右物品を陸揚と共に税関の免許を受けないで神戸市内に搬入し」との記載があった。第一審判決は、この記載を「陸揚げする際に税関の免許を受けることをしないで搬入した」という意味で捉え、有罪とした。これに対し弁護側は、判決が起訴状の記載(訴因)以外の事実を審判したものであると主張し、判例違反を理由に上告した。
あてはめ
本件起訴状の「陸揚と共に」という表現は、文脈上「陸揚げする際に」という趣旨であることは明らかである。第一審判決はこの趣旨に従って事実を認定したに過ぎない。したがって、起訴状に記載された訴因の範囲を逸脱して、その記載以外の事実について審判を行ったという評価は当たらない。
結論
本件判決は訴因以外の事実を審判したものではなく、適法である。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
訴因の特定の程度や解釈の柔軟性に関する。起訴状の文言が多少不明確であっても、その趣旨が合理的に一義的に定まるのであれば、裁判所はその解釈に基づき事実を認定して差し支えない。訴因変更の手続を経る必要がある「訴因の変更を画する重大な事実の変化」があるか否かを判断する際の前段階としての、訴因解釈の限界を示す事例である。
事件番号: 昭和26(あ)2004 / 裁判年月日: 昭和27年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、上告趣意が刑訴法405条の上告理由に当たらず、かつ記録を精査しても同法411条の職権破棄事由が認められない場合に、上告を棄却するものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、憲法違反および刑訴法411条の事由(著しい法令違反等)を主張して上告を申し立てた事案。なお、具体的な犯罪事…