判旨
関税法および貿易等臨時措置令の適用に関し、南西諸島奄美大島は法令により外国とみなされるため、同地域への物資の移送等は輸出入に関する規制の対象となる。
問題の所在(論点)
関税法や貿易等臨時措置令の適用に関し、当時米軍の軍政下にあった南西諸島奄美大島を「外国」とみなして規制の対象とすることの適法性、およびこれが刑訴法上の職権破棄事由(411条)に該当するか。
規範
特定の法令(関税法や貿易等臨時措置令等)の適用において、特定の地域(本件では南西諸島奄美大島)を外国とみなす旨の法令上の規定がある場合、当該地域は実質的な主権の有無にかかわらず、当該法令の運用上、外国として取り扱う。
重要事実
被告人が奄美大島との間で物資の取引等を行った行為について、関税法や貿易等臨時措置令違反が問われた。上告人は、奄美大島が日本の主権下にあること等を理由に、同法等の適用において同地域を外国とみなすことは憲法違反である旨、および刑訴法411条の適用がある旨を主張して上告した。
あてはめ
判旨は、奄美大島が関税法や貿易等臨時措置令の適用については法令により外国とみなされることになっていると明示した。これを前提とすれば、同地域に対する物資の移動を輸出入と同様に規制することは法令の文言上正当であり、憲法違反や著しい正義に反するような重大な誤りがあるとは認められない。したがって、職権をもって原判決を破棄すべき事情(刑訴法411条)は存在しない。
結論
奄美大島を外国とみなして関税法等を適用することは適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、ポツダム宣言受諾後の特殊な統治状況下における特定地域の法的地位(外国擬制)を確認したものである。現代の司法試験においては、行政法や租税法等の分野で、法令による「みなす」規定(擬制)の効力が及ぶ範囲や、その合憲性を検討する際の基礎的な先例として機能する。
事件番号: 昭和25(あ)2398 / 裁判年月日: 昭和27年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】戦後の法的過渡期において、法令の定めに基づき特定の地域が外国とみなされる場合、当該地域との間で行われる物品の輸出入は関税法上の規制対象となる。 第1 事案の概要:被告人は、当時法的地位が特異な状況にあった「a島」との間で物品の移動を行った。これに対し、関税法違反(無許可輸出入等)の罪で起訴された。…
事件番号: 昭和27(あ)6454 / 裁判年月日: 昭和29年5月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実行の着手は、犯行を企図した意思が外部に現れた行為といえるか否かによって判断され、密輸出の予備行為を超え、客観的に密輸出に至る危険性が認められる行為があった場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、貨物を朝鮮へ密輸出することを企図し、互いに共謀した。被告人らは、密輸出の実現に向けて具…
事件番号: 昭和28(あ)47 / 裁判年月日: 昭和30年10月4日 / 結論: 棄却
一 外国で入手した砂糖三万斤をわが領海内まで運航した来た上、他の船に積替え、二日宛の間隔をおいて三回に各別の三ケ所に一万斤づつ陸揚げした場合には、右陸揚毎に各別の密輸入罪が成立する。 二 貿易等臨時措置令施行当時命令の定める場合ではないのに政府以外の者が税関の免許なくして貨物(免税品)を輸入したときは、貿易等臨時措置令…
事件番号: 昭和25(あ)2864 / 裁判年月日: 昭和27年8月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】関税法違反と貿易等臨時措置令違反、およびそれらの幇助行為が、いずれも一個の行為で数個の罪名に触れる場合には、刑法54条1項前段により観念的競合として処理すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和24年6月、正規の引揚船ではない発動機船に乗船して鹿児島県から佐賀県へ上陸し、不法に入国した。その…