判旨
窃盗罪(刑法235条)の成否について、被告人がセメントを窃取したという第一審の事実認定を妥当とし、窃盗罪の成立を肯定した判決である。
問題の所在(論点)
被告人によるセメントの領得行為が、刑法235条の「窃取」に該当し、窃盗罪を構成するか。また、第一審の事実認定に憲法違反の瑕疵があるか。
規範
刑法235条の窃盗罪が成立するためには、他人の占有する財物を、占有者の意思に反して自己又は第三者の占有に移転させる行為(窃取)が必要である。
重要事実
被告人は、判示に係るセメントを窃取したとして、第一審判決において窃盗罪の有罪判決を受けた。これに対し被告人側は、当該事実は「罪とならない事実」であるとして、憲法31条違反(適正手続違反)や量刑不当を理由に上告した。
あてはめ
最高裁判所は、第一審が挙示の証拠によって被告人がセメントを窃取した事実を認定し、これを窃盗罪とした判断を正当なものとして維持した。したがって、犯罪が成立しない事実を有罪としたという主張は前提を欠き、憲法31条違反の主張も認められない。また、量刑不当の主張は適法な上告理由に当たらないと判断した。
結論
被告人がセメントを窃取した事実は窃盗罪を構成し、第一審および控訴審の有罪判決は正当であるとして、上告を棄却した。
実務上の射程
本判決自体は短い判旨であるが、構成要件に該当する事実認定が証拠に基づき適正になされている限り、窃盗罪の成立は揺るがないことを示している。答案作成上は、客観的構成要件(窃取事実)の存否が争点となる場合の確認的な裁判例として位置付けられる。
事件番号: 昭和24(れ)2738 / 裁判年月日: 昭和25年3月31日 / 結論: 破棄差戻
原審の採用した證據によると判示の場所でA保管に係る名古屋知b區a町B株式會社が陸軍者から拂下を受けた原毛約一二梱が盜難にかかつた事實と被告人が原毛を取扱つた事實は判るけれども盜難にかかつた原毛と被告人の取扱つた原毛が同一のものであることは原判決舉示の證據からはこれを認めることができないのであつて、從つてまた被告人が判示…