論旨は、第一審における判決の言渡か審判の公開に關する規定に違反したものであにかゝわらず原判決は第一審判決にかゝる憲法の違反があるのを無視して控訴を棄却したのであるから重要な法規を無視した違法があるというのである。しかし、被告人はかゝる事由があることを理由として控訴を申立てたものではなく、從つて被告人の辯護人は原審において刑訴法第三七七條所定の保證書を添付していないのである。してみれば、所論の事由は控訴趣意書に包含されてもいないし又職權調査事項でもないのであるから、原判決は右の事由について判斷していないのである。從つて、この點に關しては原判決に刑訴法第四〇五條に定める事由があるものと云うことはできない。
被告人の控訴趣意書に刑訴法第三七七條所定の辯護人の保證書の添付がない場合と第一審の法令違背の主張を理由とする上告の適否
刑訴法377條,刑訴法405條
判旨
控訴審において控訴趣意に含まれず、かつ職権調査事項でもない事由については、原判決がそれについて判断していない以上、上告理由(刑訴法405条)に当たらない。
問題の所在(論点)
控訴審で主張されず、職権調査事項でもない手続違背について、原判決が判断を示さなかった場合に、これを上告理由として主張し得るか。
規範
控訴趣意に含まれておらず、かつ職権調査事項にも該当しない事由については、原審が判断を示す義務はなく、実際に判断していない以上、これを理由として原判決に上告理由があるものと解することはできない。
重要事実
被告人が第一審判決の言渡における審判公開規定違反を主張したが、被告人はこの事由を控訴理由として申し立てておらず、弁護人も控訴審において必要とされる保証書(刑訴法377条)を添付していなかった。原審はこの点について判断を示さず、控訴を棄却した。
あてはめ
本件で主張された審判公開規定の違反は、被告人側が控訴趣意書に含めておらず、かつ職権調査事項でもない。したがって、原判決がこの点について判断していないことは正当であり、刑訴法405条所定の上告理由を構成するものではないといえる。
結論
本件の上告理由には当たらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
控訴審の構造(事後審的性格)に鑑み、控訴審で審理の対象とならなかった事項を上告審で新たに争うことの制限を示す。上告理由の適格性を判断する際の基礎的な法理として機能する。
事件番号: 昭和25(あ)3145 / 裁判年月日: 昭和26年5月31日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和49(あ)2095 / 裁判年月日: 昭和49年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の記載自体に対する不服は原判決に対する適法な上告理由とはならず、また単なる量刑不当の主張も刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が、控訴審判決に対して上告を提起した。被告人本人は控訴趣意書の記載内容自体を非難する主張および量刑不当の主張を行い、弁…