判旨
刑事訴訟法405条が上告理由を限定し、同法411条所定の事由を上告理由に含まないことは憲法13条に違反しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法405条が、同法411条所定の職権破棄事由を適法な上告理由として認めていないことが、個人の尊厳や幸福追求権を保障する憲法13条に違反するか。
規範
刑事訴訟法405条において上告理由が特定の事由に限定されており、同法411条所定の事由(著しい刑の不当、判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認等)が上告人の主張できる適法な上告理由として規定されていないことは、憲法13条の趣旨に反するものではない。
重要事実
被告人は飲酒酩酊による心神耗弱状態にあったと主張し、事実誤認または量刑不当を理由に上告を申し立てた。しかし、弁護人および被告人本人の主張は、刑法上の責任能力に関する原判決の判断を争うものであり、形式的には刑事訴訟法405条に定められた適法な上告理由(憲法違反や判例違反)に該当しないものであった。
あてはめ
被告人の主張は飲酒による心神耗弱の主張に留まり、原判決の認定は正当であると判断される。刑事訴訟法405条は上告できる場合を厳格に制限しているが、これは裁判の迅速かつ適正な運営を図るための合理的制限である。同法411条はあくまで裁判所の職権による救済を定めたものであり、これを上告人が権利として主張できる理由から除外したとしても、憲法13条が保障する適正な手続や基本的人権を侵害するとはいえない。
結論
刑事訴訟法405条は憲法13条に違反しない。したがって、適法な上告理由に当たらない本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法405条の合憲性を肯定した判例であり、実務上は上告理由を限定的に解釈する根拠となる。答案作成においては、411条の事由を理由とする上告が「上告理由がない」として棄却される際の制度的根拠や合憲性の文脈で使用する。ただし、現在は39条の2等による上告受理の制度が別途存在する点に留意する。
事件番号: 昭和26(あ)384 / 裁判年月日: 昭和27年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張していても、その実質が単なる刑事訴訟法違反の主張に帰する場合には、刑法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人が、原判決に憲法違反があるとして上告を申し立てた事案。弁護人は上告趣意において憲法違反を主張したが、その具体的内容は手続き上の不備等を指摘するものであった…