所論は、第一審判決が与へられるまでに「身体の不当な拘束を必要以上に延引せられたものである」ことは、違法であると主張するのである。しかしながら上告は原則として第二審判決の法令違反を理由とすべきものであつて、かかる第一審判決手続の違法を理由とすることは法律上許されていない。(所論のような違法があるとすればこれに對しては別の救済を求むべきである)
第一審判決の手続の違法を理由とする上告の適否
舊刑訴法408條,舊刑訴法409條
判旨
第一審判決が与えられるまでの身体拘束の延引が不当であるとしても、上告審においては第二審判決の法令違反を理由とすべきであり、第一審判決手続の違法を直接の理由とすることは許されない。
問題の所在(論点)
第一審段階における不当な身体拘束の延引を、上告審において判決手続の違法として主張し、破棄理由とすることができるか。
規範
上告は原則として第二審判決の法令違反を理由とすべきものであり、第一審判決手続における身体拘束の不当な延引等の違法を理由として上告することは、法律上許されない。
重要事実
被告人らは、第一審判決が下されるまでの期間、身体の不当な拘束を必要以上に延引されたことが違法であると主張して上告を申し立てた。本件は旧刑事訴訟法が適用される事案である。
あてはめ
上告審の性質に鑑みれば、不服申立ての対象は第二審判決の法令違反に限定されるべきである。第一審における身体拘束の態様は、第二審判決自体の適法性を左右するものではなく、仮に不当な拘束があったとしても、それは別途別の救済手段(国家賠償等)によって解決されるべき事柄であって、上告理由には当たらないと解される。
結論
第一審における身体拘束の不当な延引を理由とする上告は認められず、本件各上告は棄却される。
実務上の射程
上告審の構造上の制約を示すものであり、前審までの手続的瑕疵が当然に上告理由となるわけではないことを示唆する。現行刑訴法下においても、判決に影響を及ぼすべき法令違反の有無という観点から、手続違憲や重大な手続違反が上告理由となり得る範囲を検討する際の基礎的な考え方として参照し得る。
事件番号: 昭和24(れ)1109 / 裁判年月日: 昭和24年10月13日 / 結論: 棄却
未決勾留は、その名の示すごとく未だ有罪、無罪の決定しない者に對し審理の必要上爲される刑事訴訟手續上の自由の拘束であつてもとより刑罰の執行ではない。從つて、その目的も、拘束の場所も、その處理も、その効果も刑罰の執行と異なるものであるたゞ自由拘束の一點において自由刑の執行と類似するところがあるが故に刑法第二一條は、裁判所に…
事件番号: 昭和24(れ)28 / 裁判年月日: 昭和24年5月31日 / 結論: 棄却
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