一 共同被告人の供述も本人の自白を補強する證據となり得ることは、既に當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一一二號、同年七月一四日大法廷判決)に示されている通りである。 二 事實審たる裁判所が審理の結果、舊少年法第七一條に從つて事件を少年審判所に送致するか、又は自から刑事處分に付するかにつき、慎重な判斷を爲すべきことは所論の通りである。しかしそれは事件を刑事處分に付することの前提たる手續に過ぎないのであつて、刑事處分そのものではない。從つて刑事處分としての判斷たる判決中に、所論のような判斷又は判斷理由を示すべき必要はなく、そのことを命ずる法規も存しない。
一 共同被告人の供述と補強證據 二 舊少年法第七一條の處分に對する判斷理由を判示の要否
憲法38條3項,刑訴應急措置法10條3項,舊刑訴法360條1項,舊少年法71條,舊少年法4條
判旨
共犯者の供述は本人の自白の補強証拠となり得るとともに、公判廷での自白は憲法38条3項の自白に含まれない。また、不当に長い拘禁後の自白であっても、拘禁と自白との間に因果関係が認められない場合には証拠能力は否定されない。
問題の所在(論点)
1. 共同被告人の供述が自白の補強証拠となり得るか(自白の補強法則)。 2. 公判廷での自白が憲法38条3項の「自白」に含まれるか。 3. 約11ヶ月という長期間の拘禁後になされた自白が、不当に長い拘禁後の自白として証拠能力を否定されるか。
規範
1. 憲法38条3項の「自白」には、公判廷における自白は含まれない。 2. 共同被告人の供述は、被告人本人の自白に対する補強証拠となり得る。 3. 「不当に長く抑留又は拘禁された後の自白」(刑訴法319条1項後段)として証拠能力が否定されるためには、不当な抑留・拘禁と自白との間に因果関係が存在することを要する。
重要事実
被告人A及びBは、昭和22年9月11日に緊急逮捕され、昭和23年8月31日に保釈されるまで約11ヶ月余りにわたって拘禁されていた。原判決が証拠として採用した自白は、拘禁開始から約11ヶ月後に行われた原審第2回公判(昭和23年8月12日)における供述であった。しかし、被告人らは逮捕当日には既に警察官に対して自白し、その直後の検察官調書や第1審第1回公判(昭和23年1月17日)においても同様の自白を行っていた。
あてはめ
1. 共同被告人の供述が証拠として総合され、被告人本人の自白を補強して犯罪事実を認定することは適法である。 2. 本件で採用された自白は原審公判廷における自白であり、憲法38条3項の制約を受けない。 3. 被告人らは、11ヶ月の拘禁の末に初めて自白したわけではなく、逮捕直後や拘禁初期の段階で既に同内容の自白を繰り返している。したがって、原審公判廷での自白と長期間の拘禁との間には因果関係が認められず、刑訴法319条1項後段(旧刑訴応急措置法10条2項)には該当しない。
結論
被告人らの自白および共同被告人の供述を証拠として犯罪事実を認定した原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
自白の補強法則において共犯者の供述を補強証拠として用いる実務上の運用を肯定した。また、不当な抑留・拘禁による自白の排除について、単なる期間の長さだけでなく、自白獲得との因果関係を重視する判断枠組みを示しており、自白の任意性・信憑性に関する答案作成において因果関係の有無を検討する際の指標となる。
事件番号: 昭和52(あ)1674 / 裁判年月日: 昭和53年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項の「本人に不利益な唯一の証拠」には共犯者の自白は含まれず、共犯者一人の供述により他の共犯者の犯罪事実を認定できる。また、相互に補強証拠となり得る複数の共犯者の供述やその他の証拠を総合して有罪と認定することは憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人B及びCの犯罪事実の認定に関し、第…