しかし、有罪判決に示すべき強盜罪の一構成要件たる「他人の財物」であることを判示するには、該構成要件に該當するか、否かを判定するに足る程度の具體的事實を掲げさえすれば差支えないものであつて所論のように、目的物の確定數を表示することを要するものではない。そして原判決は、A所有の中古三つ揃背廣服一着外衣類七點位と判示していて該構成要件に該當する具體的事實を判示したものであること明白であるから、原判決には所論の違法はない。
強盜罪において「他人の財物」であることを判示する具體性の程度
舊刑訴法360條1項
判旨
強盗罪の構成要件である「他人の財物」を判示するには、当該構成要件への該当性を判定し得る程度の具体的事実を摘示すれば足り、目的物の確定数を表示することまでは要しない。
問題の所在(論点)
有罪判決における「罪となるべき事実」の判示(旧刑事訴訟法下、現行刑事訴訟法335条1項相当)において、強盗罪の客体である財物の数量を厳密に確定させる必要があるか。
規範
有罪判決において罪となるべき事実を判示する際には、構成要件に該当するか否かを判定するに足りる程度の具体的事実を掲げれば足りる。客体が「他人の財物」であることを示す場合、その目的物の個数を厳密に確定して表示することは必ずしも必要ではない。
重要事実
被告人は強盗罪に問われたが、原判決は強盗の客体について「A所有の中古三つ揃背広服一着外衣類七点位」と判示した。これに対し弁護人は、目的物の確定数を表示していない点において、有罪判決に具備すべき事実の判示に欠けるところがあるとして上告した。
あてはめ
原判決は客体について「中古三つ揃背広服一着外衣類七点位」と明記している。これは、所有者(A)および種類(背広服等)を特定した上で、概数(七点位)を示したものである。このような判示は、強盗罪の構成要件である「他人の財物」という事実を判定するに足りる具体的事実を掲げたものといえ、構成要件の該当性を判断する上で十分な特定がなされていると解される。
結論
目的物の確定数を表示しなくとも、構成要件該当性を判定できる程度の事実が摘示されていれば、判決の違法とはならない。
実務上の射程
刑事実務における起訴状の記載や判決書の事実適示の程度に関する射程を有する。窃盗や強盗等の財産犯において、客体の数量が完全に特定できない場合であっても、他の要素(所有者、場所、種類等)により構成要件該当性が判断可能であれば、罪となるべき事実の判示として有効であることを示唆している。
事件番号: 昭和24(れ)28 / 裁判年月日: 昭和24年5月31日 / 結論: 棄却
論旨は、原審は本件の併合罪につき法定の加重をするに當り、窃盜罪と強盜未遂罪との刑の輕重の比較において窃盜罪を重しとしてその刑に法定の加重をしているが、それは違法であるというのである。しかし、同時に刑を加重減輕すべきときには、併合罪の加重は、先だつて法律上の減輕をしなければならないことは、刑法第七二條の規定するところであ…
事件番号: 昭和24(れ)1354 / 裁判年月日: 昭和24年7月19日 / 結論: 棄却
いわゆる自白の補強證據というものは。被告人の自白した犯罪が架空のものではなく、現實に行われたものであることを證するものであれば足りるのであつて、その犯罪が被告人によつて行われたという犯罪と被告人との結びつきまでをも證するものであることを要するものではない。
事件番号: 昭和22(れ)92 / 裁判年月日: 昭和22年12月4日 / 結論: 棄却
一 連續一罪を構成すべき數多の行爲を判示するには、各個の行爲の内容を一々具體的に判示することは要しない。數多の行爲に共通した犯罪の手段方法その他の事實を具體的に判示するの外、その連續した行爲の始期終期回數等を明かにし、且つ財産上の犯罪で、被害者又は贓額に異同があるときは、被害者中或る者の氏名を表示するの外、他は員數を掲…