一 連續一罪を構成すべき數多の行爲を判示するには、各個の行爲の内容を一々具體的に判示することは要しない。數多の行爲に共通した犯罪の手段方法その他の事實を具體的に判示するの外、その連續した行爲の始期終期回數等を明かにし、且つ財産上の犯罪で、被害者又は贓額に異同があるときは、被害者中或る者の氏名を表示するの外、他は員數を掲げ贓額の合算額を表示する等、これによつてその行爲の内容が同一罪質を有する複數のものたることを知り得べき程度に具體的なるを以て足る。 二 犯罪の日時は、犯罪の構成要件ではないから、逐一證據をあげてこれを認めた理由を説示する必要はなく、ただ犯行を具體的事實としてその同一性を認め得られる程度に判示すればよい。偶々、犯罪の日時に關する證據の説示中に瑕疵があつても、上告の理由とすることはできない。 三 強盜罪において、被告人が公判廷でなした一定の日時、場所において物件を強取した旨の供述とその日時、場所における強取被害物件の品目数量を明らかにした被害顛末書とを以て、被告人が当該被害物件を強取したことを認定しても、採証の方法を誤つたものとはいえない。
一 連續犯の判示方法 二 犯罪の日時と證據 三 強盜罪の認定における採証方法
刑法55條,刑訴法336条,刑訴法360條2項
判旨
連続一罪の判示においては、各個の行為を逐一具体的に摘示する必要はなく、共通の手段方法や始期・終期、回数等を明示し、行為の内容が同一罪質を有する複数のものと知り得る程度に具体的に判示すれば足りる。また、犯罪の日時は構成要件ではないため、犯行の同一性を認め得る程度の判示があれば、証拠説示に瑕疵があっても直ちに違法とはならない。
問題の所在(論点)
1. 連続的な犯行(包括一罪)を認定する際、個別の実行行為をどの程度具体的に判示する必要があるか。 2. 犯罪日時の誤記や証拠説示の不備は、判決の違法事由(理由不備)となるか。
規範
1. 連続一罪(包括一罪)の判示において、各個の行為を逐一具体的に判示する必要はない。共通の犯罪手段・方法のほか、始期・終期・回数を明らかにし、被害者名や員数、総額を表示するなど、行為の内容が同一罪質を有する複数のものと判別できる程度の具体的記載があれば足りる。 2. 犯罪の日時は犯罪の構成要件ではない。したがって、逐一証拠を挙げて認定の理由を説示する必要はなく、犯行を具体的事実としてその同一性を認め得る程度に判示すれば足りる。
重要事実
被告人は、複数回にわたる窃盗および強盗の罪に問われた。原判決は、窃取の事実について「3回にわたり衣類約13点、自転車2台を窃取した」旨を認定したが、各回ごとの詳細な日時・場所・物件の対応までは個別に判示していなかった。また、強盗事件の犯行日時について、記録上の「8月22日」を「8月23日」と誤記していた。被告人側は、これらの認定が具体的でないことや日時の誤りを理由に、理由不備や採証法則違反を主張して上告した。
あてはめ
1. 連続一罪の判示について、原判決は犯行期間、場所、被害者の氏名(一部)、盗品の総数および総額を表示しており、これによって行為の内容が同一罪質を有する複数のものと認識可能である。各個の行為を細分化して判示せずとも、同一性を特定できる程度に具体化されているといえる。 2. 犯罪日時の認定について、原判決の日時記載は明らかな誤記と認められる。しかし、日時は犯罪の構成要件そのものではなく、他の証拠(被害顛末書等)と照らし合わせて犯行の同一性が特定されている以上、その説示に多少の瑕疵があっても判決の結論に影響を及ぼす違法とはいえない。
結論
原判決に理由不備の違法はない。包括一罪の判示は罪質の同一性が判別できる程度で足り、日時の誤記も犯行の同一性が害されない限り判決を左右しない。
実務上の射程
刑事訴訟法上の「罪となるべき事実」の適示(刑訴法335条1項)の程度に関する重要判例。実務上、包括一罪の事案で個々の行為を簡略化して記載する際の許容限度を示す指針となる。また、日時の特定が防御権に実質的な不利益を与えない限り、些末な誤記や証拠不備を理由とした上告は制限される。
事件番号: 昭和25(れ)120 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀共同正犯の事実を判示する際、共謀の成立を認めるに足りる事実が摘示されていれば足り、共謀の具体的日時、場所、内容等を詳細に判示する必要はない。 第1 事案の概要:被告人は、他人と共謀して強盗を行ったとして起訴され、有罪判決を受けた。弁護人は、原判決の判示において共謀の具体的な内容が示されていない…