被告人の本件犯行の年次につき原判決には昭和二一年と記載されていることは所論のとおりであるが原判決が證據に引用しているAに對する司法警察官の聽取書同人提出の被害品詳細書及びB外五名提出の盗難被害に關する屆書等の記載によつても又原審公判調書中の被告人の供述記載によつてもその年次が昭和二二年であることは明白であるから原判決の年次の記載は昭和二二年の誤記であると認められる又原判決が證據として利用した證據書類中にC、Dの各盗難被害顛末書とあるのはE、Dの各盗難被害顛末書の誤記であることは記録に編綴されている盗難被害顛末書の記載から明らかである、されば原判決には所論のような違法なく論旨は理由がない。
判決中の犯行の年次及び引用證據中の誤記と判決の違法
刑訴法71條
判旨
判決書に記載された事実の年次や証拠書類の名称が、引用された証拠資料の内容に照らして明らかに誤記であると認められる場合には、判決に違法があるとはいえない。
問題の所在(論点)
判決書に記載された犯行日時や証拠書類の名称に誤りがある場合に、それが判決を破棄すべき違法(刑事訴訟法上の理由)に該当するか。
規範
判決書における事実認定の年次や証拠の名称等に誤記がある場合であっても、それが記録上の証拠資料や被告人の供述等に照らして明白な誤りであると認められるときは、判決そのものの違法を構成しない。
重要事実
原判決において、被告人の犯行年次が「昭和21年」と記載されていたが、原判決が引用する司法警察官の聴取書、被害品詳細書、盗難被害届出書、および被告人の供述によれば、実際の年次は「昭和22年」であることが明白であった。また、証拠書類の名称として「C、Dの各盗難被害顛末書」と記載されていたが、記録上は「E、Fの各盗難被害顛末書」の誤記であることが明らかであった。
あてはめ
本件における犯行年次の記載は、引用された証拠類の内容や被告人自身の供述と照らし合わせれば、昭和22年の誤記であることは客観的に明白である。また、証拠書類の名称の相違についても、記録に編綴されている書類の実態から誤記であることは明らかである。このように、判決の基礎となる資料との矛盾が形式的な記載上のミスに留まる場合は、実質的な判断に影響を及ぼす違法とは評価されない。
結論
原判決に記載の誤りはあるが、これらは明白な誤記にすぎないため、上告趣意にあるような違法は認められず、上告は棄却される。
実務上の射程
判決書の更正に関する実務上の判断基準を示している。記載の不一致が単なる誤記であり、記録上正しい内容が明白である場合には、判決の結論を左右する理由不備や事実誤認には当たらないことを主張する際の根拠となる。
事件番号: 昭和23(れ)1833 / 裁判年月日: 昭和24年4月26日 / 結論: 棄却
記録を調べてみるとその丁附けに誤記のあること所論の通りである。しかし記録の丁數は書類整理の便宜上これをその欄外に記載するだけで法規の要求するものではないのみならず裁判は證據に基いてなされるものであつて、記録によつてなされるのではない。そうして本件記録中丁附けに誤記ある部分は何れも原判決が證據として採用しているものではな…
事件番号: 昭和22(れ)92 / 裁判年月日: 昭和22年12月4日 / 結論: 棄却
一 連續一罪を構成すべき數多の行爲を判示するには、各個の行爲の内容を一々具體的に判示することは要しない。數多の行爲に共通した犯罪の手段方法その他の事實を具體的に判示するの外、その連續した行爲の始期終期回數等を明かにし、且つ財産上の犯罪で、被害者又は贓額に異同があるときは、被害者中或る者の氏名を表示するの外、他は員數を掲…