判文上被告人の所爲が行爲の日時、態様等から見て繼續の意思に出たことを認めた趣旨であることが窺える場合ならば判文上特に犯意繼續の事實を明示せず又更に之が證據による説明をしないでも連續犯として處斷することを妨げない。
連續犯について犯意繼續の事實及びその證據を明示しない判決と上告の適否
刑法55條,刑訴法360條1項
判旨
短期間内に同種の犯行を反覆累行した事実自体から、犯意の継続が客観的に認められる場合には、判決文に犯意継続の事実を明示しなくとも連続犯として処断できる。
問題の所在(論点)
複数の犯罪行為を連続犯(旧刑法55条)として処断する場合に、判決書において犯意の継続という主観的要件を明示的に説示し、証拠による裏付けを説明する必要があるか。
規範
行為の日時、態様等から見て犯意の継続があったと客観的に認められる場合には、判決において特に「犯意継続の事実」を明示し、または証拠による説明を付さなくても、複数の行為を連続犯として一体的に処断することが許される。
重要事実
被告人は、昭和22年1月6日夜に他人の工場に侵入して糸を盗み(窃盗)、同年2月1日夜にも共犯者らと共謀して他家に押し入り、日本刀を用いて物品を強奪した(強盗)。原審は、これら約1ヶ月弱の間に敢行された窃盗と強盗の所為について、判決文中で特に犯意の継続に関する具体的な理由を付すことなく、刑法55条(旧法)を適用して連続犯として処断した。これに対し弁護人は、連続犯と認める理由の説示がなく理由不備の違法があると主張して上告した。
あてはめ
本件では、被告人が約25日という短期間のうちに、窃盗および強盗という同種の財産犯を反覆累行している。このような犯行の日時および態様の近接性という客観的事実自体から、一貫した継続的犯意に基づいて行われたものであることを窺い知ることが可能である。したがって、判決文に特段の理由説明がなくても、これらを連続犯と認めた原判断に法的な不備はない。
結論
短期間内の同種犯行の反覆という事実から犯意の継続が窺える以上、理由の明示がなくても連続犯としての処断は正当であり、違法ではない。
実務上の射程
現在は連続犯規定(旧刑法55条)が削除されているため、そのままの適用はないが、包括一罪の成否を判断する際の「犯意の単一性・継続性」の認定手法として参考になる。客観的事実(時間的・場所的近接性や態様の共通性)から主観的要件を推認できる場合には、詳細な説示を要しないとする実務的な判断枠組みを示している。
事件番号: 昭和22(れ)92 / 裁判年月日: 昭和22年12月4日 / 結論: 棄却
一 連續一罪を構成すべき數多の行爲を判示するには、各個の行爲の内容を一々具體的に判示することは要しない。數多の行爲に共通した犯罪の手段方法その他の事實を具體的に判示するの外、その連續した行爲の始期終期回數等を明かにし、且つ財産上の犯罪で、被害者又は贓額に異同があるときは、被害者中或る者の氏名を表示するの外、他は員數を掲…