判旨
窃盗罪と強盗罪であっても、それらが連続して行われた場合には包括して一つの連続犯を構成し得る。また、連続犯の関係にない他の犯罪とは併合罪として処理される。
問題の所在(論点)
異種の罪名(窃盗罪と強盗罪)が混在する場合であっても、それらを包括して一つの連続犯として認定できるか。また、複数の犯罪群が存在する場合の罪数関係をいかに解すべきか。
規範
同一の罪種に限らず、異なる罪名の間であっても、一連の犯意に基づき連続して行われた行為については、包括して一つの連続犯(旧刑法下の概念)として扱うことが可能である。ただし、それ以外の独立した犯罪については、刑法45条に基づき併合罪として処断すべきである。
重要事実
被告人が行った判示第一の各窃盗行為と、第二の各強盗行為について、原判決はこれらを一つの連続犯として認定した。一方で、第四(一)(二)、第五、第六の各窃盗行為については、先の連続犯とは別個の犯罪とし、合計五箇の罪が成立すると判断した。これに対し、弁護人は「窃盗は窃盗のみ、強盗は強盗のみでそれぞれ連続犯になるべきである」と主張して上告した。
あてはめ
本件では、判示第一の窃盗と第二の強盗について、原審は一つの連続犯を構成すると説明している。これは、罪名が異なるからといって直ちに別個の罪となるのではなく、犯行の連続性を重視した判断といえる。一方で、その後の第四から第六の各窃盗については、先の窃盗・強盗群とは連続性が認められないため、それぞれ独立した罪として併合罪の関係に立つ。弁護人の主張は原判決の読み違えに基づき、罪名ごとにのみ連続犯が成立するという限定的な解釈は採られない。
結論
窃盗と強盗を一つの連続犯とし、それ以外の罪と併合罪とした原判決の法律適用に誤りはない。
実務上の射程
現行刑法では「連続犯」の規定は削除されているが、本判決の考え方は「包括一罪」の成否を検討する際の参考になる。特に、基本構成要件(窃盗)とその加重類型(強盗)のように、性質の共通する犯罪間での包括的な評価の可能性を示すものである。答案上は、複数の行為が単一の犯意に基づくものか、保護法益や行為態様が共通するかという観点から罪数を論ずる際の基礎資料となる。
事件番号: 昭和22(れ)154 / 裁判年月日: 昭和22年12月24日 / 結論: 棄却
一 窃盜の罪と強盗の罪とは、その手段において異なるところはあるが、財物奪取行爲たる罪質においては同一であり、ともに同一の章の下に規定されてゐる刑法犯であるから、窃盜と強盗との連續行爲は、刑法第五五條にいわゆる同一の罪名に觸れるものである。 二 原審が連續犯として處断した行爲について、辯護人が連續犯にならないと主張するこ…
事件番号: 平成18(あ)2455 / 裁判年月日: 平成19年3月22日 / 結論: 棄却
併合罪関係にある複数の罪のうちの1個の罪のみでは死刑又は無期刑が相当とされない場合であっても,死刑又は無期刑を選択する結果科されないこととなる刑に係る罪を,これをも含めて処罰する趣旨で考慮し,上記1個の罪について死刑又は無期刑を選択することができる。