一 窃盜の罪と強盗の罪とは、その手段において異なるところはあるが、財物奪取行爲たる罪質においては同一であり、ともに同一の章の下に規定されてゐる刑法犯であるから、窃盜と強盗との連續行爲は、刑法第五五條にいわゆる同一の罪名に觸れるものである。 二 原審が連續犯として處断した行爲について、辯護人が連續犯にならないと主張することは、被告人の不利益になることを主張するものであるから、上告の理由とならない。
一 窃盜と強盗との連續犯 二 被告人に不利益な主張と上告理由
刑法55條,刑法235條,刑法236條,刑訴法409條,刑訴法411條
判旨
窃盗罪と強盗罪は、その手段に差異はあるものの、財物奪取行為としての罪質において同一であり、刑法上の同一章に規定されている。したがって、窃盗と強盗の連続行為は、旧刑法55条にいう「同一ノ罪名」に触れるものとして、連続犯(一罪)として処断することが可能である。
問題の所在(論点)
旧刑法55条(連続犯)における「同一ノ罪名」の意義。具体的には、窃盗罪と強盗罪の連続行為を、同一の罪名に触れるものとして一罪(強盗罪)で処断することができるか。
規範
旧刑法55条の「同一ノ罪名」とは、必ずしも条文を同じくすることを要せず、罪質において同一性を有するものを指す。窃盗罪と強盗罪は、いずれも財産犯としての本質を共有し、保護法益および奪取行為の態様において共通性を有するため、これらが連続して行われた場合は「同一ノ罪名」に当たると解すべきである。
重要事実
被告人Nらは、共謀の上、特定の日時に倉庫に侵入し、番人に対して拳銃を突きつけ身体を縛り上げる等の暴行・脅迫を加えて抵抗を抑圧し、衣類等を強奪した(強盗)。また、その数日前には、別の工場の2階に侵入し、木綿白布地を窃取していた(窃盗)。原審は、これら短期間内の反復累行された窃盗行為と強盗行為に対し、旧刑法55条(連続犯)を適用して強盗の一罪として処断した。
あてはめ
窃盗罪と強盗罪を比較すると、前者は密かに、後者は暴行・脅迫を用いるという手段の面では異なる。しかし、他人の占有する財物を不法に自己の占有に移すという「財物奪取行為」としての罪質においては、両者は共通している。また、両罪とも刑法の同一章(第36章「窃盗及び強盗の罪」)に規定されており、法律上の取扱いも密接に関連している。本件においても、短期間内に財物奪取の犯意が継続して反復されている以上、これらを包括して「同一ノ罪名」に触れるものと評価することは法理上可能である。また、これを一罪とせず併合罪として処断することは被告人にとってより重い刑罰(刑法45条、47条)を科す結果を招くものであり、一罪としての処断に違法はない。
結論
窃盗と強盗の連続行為は「同一ノ罪名」に触れるため、強盗の一罪として処断した原判決は正当である。
実務上の射程
現在は連続犯規定(旧刑法55条)が削除されているため、現在の実務では原則として併合罪(45条前段)となる。しかし、複数の行為を包括して一つの罪名で評価する「包括一罪」の議論や、強盗予備罪と強盗罪の関係、あるいは類似する罪質を持つ犯罪間の評価(例:占有離脱物横領と窃盗)における罪質同一性の判断枠組みとして、本判例の論理は依然として参照に値する。
事件番号: 昭和24(れ)2361 / 裁判年月日: 昭和24年11月22日 / 結論: 棄却
現行刑法においても、住居侵入罪と強盜罪とはその被害法益および犯罪の構成要件を異にし、住居侵入の行爲は強盜罪の要素に屬せず別個獨立の行爲であり、しかも通常右兩罪の間には手段結果の關係のあることが認められるから、原判決が右兩罪を刑法第五四條第一項後段のいわゆる牽連犯として取扱つたのは正當であつて、論旨は理由がない。(昭和二…
事件番号: 昭和24(れ)2949 / 裁判年月日: 昭和25年5月4日 / 結論: 破棄自判
最高裁判所が破棄自判するに當り被告人は犯時及び原審判決當時には少年であつたが今や滿十八歳以上となつたものであるから、少年法を適用しないで處斷刑期並びに原判決の言渡した不定期刑(二年六月以上五年以下)の範圍内で被告人を懲役三年六月に處し、第一審における未決勾留日數中八〇日を刑法二一條に則り本刑に算入すべきものとする。