最高裁判所が破棄自判するに當り被告人は犯時及び原審判決當時には少年であつたが今や滿十八歳以上となつたものであるから、少年法を適用しないで處斷刑期並びに原判決の言渡した不定期刑(二年六月以上五年以下)の範圍内で被告人を懲役三年六月に處し、第一審における未決勾留日數中八〇日を刑法二一條に則り本刑に算入すべきものとする。
最高裁判所が破棄自判するに當り被告人が既に滿十八歳以上に達している場合の定期刑の言渡と不利益變更の禁止
刑訴法413條,刑訴法402條
判旨
住居侵入罪と窃盗罪または強盗罪との間に手段・結果の関係がある場合、それらは刑法54条1項前段の牽連犯として処断されるべきであり、これを看過して単純な併合罪として加重することは違法である。
問題の所在(論点)
住居侵入の行為が窃盗や強盗の手段として行われた場合、刑法上の罪数関係(特に牽連犯の成否)をどのように解すべきか。また、それを考慮せずに併合罪加重を行うことの当否。
規範
「犯罪の手段又は結果である行為が他の罪名に触れるとき」(刑法54条1項前段)とは、ある罪がその性質上、通常他の罪の手段または結果として行われる関係にある場合をいう。住居侵入罪と窃盗罪・強盗罪との間に手段・結果の関係が認められる場合、これらは牽連犯として科刑上一罪を構成する。
重要事実
被告人は、第一から第六の各住居侵入、第一の強盗、ならびに第二、第三(1)(2)、第五および第六の各窃盗の事実により起訴された。原判決は第一審判決の事実を引用したが、第五の住居侵入と窃盗との関係、および第四の住居侵入と他の罪との関係等について、牽連犯か否かの検討を欠いたまま、漫然と併合罪(刑法45条前段)として刑の加重を行った。
事件番号: 昭和27(あ)4943 / 裁判年月日: 昭和28年2月20日 / 結論: 棄却
現行刑法において住居侵入罪と窃盗罪とはその被害法益及び犯罪の構成要件を異にし、住居侵入の行為は窃盗罪の要素に属せず、別個独立の行為であり、しかも通常、右両罪の間には手段結果の関係があることが認められるから、第一審判決が両罪を刑法五四条一項後段のいわゆる牽連犯として取扱つたのは正当である。
あてはめ
被告人による判示第一の住居侵入と強盗、および第二、第三、第五、第六の各住居侵入と各窃盗との間には、それぞれ手段と結果の関係が認められる。したがって、これらは刑法54条1項前段および10条により、それぞれ重い強盗罪または窃盗罪の刑に従って処断されるべきである。これに対し、これらを別個の罪として併合罪加重を行った原判決には法律適用の誤りがある。
結論
住居侵入罪と強盗罪・窃盗罪との間に手段・結果の関係がある場合は牽連犯となる。原判決を破棄し、牽連犯として処理した上で、併合罪の制限内で懲役3年6月に処する。
実務上の射程
住居侵入と窃盗(侵入盗)の罪数関係に関する基本判例である。答案上は、住居侵入罪と財産犯が成立する場合に、必ず両者の手段・結果関係を指摘し、牽連犯(科刑上一罪)として処理するために引用する。本判決は強盗についても同様の処理をしている点に注意が必要である。
事件番号: 昭和24(れ)2907 / 裁判年月日: 昭和25年2月28日 / 結論: 棄却
住居侵入罪と強盜致死罪竝に強盜傷人罪とは、その被害法益及び犯罪の構成要件をそれぞれ異にし、住居侵入の行爲は強盜致死及び強盜傷人罪の要素に屬せず別個獨立の行爲であるから、前者が後者に處罰上吸收せられると做す所論は理由がない。しかも右の兩者の間には通常手段結果の關係のあることが認められるから、原判決が判示住居侵入と強盜致死…
事件番号: 昭和28(あ)3824 / 裁判年月日: 昭和28年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】住居侵入罪が強盗罪の手段となる関係にある場合、起訴状において訴因や罰条として明示され、被告人に送達されている限り、適法に訴訟の対象となり得る。 第1 事案の概要:被告人は、強盗等の罪で起訴された。被告人側は、住居侵入の事実が昭和28年1月24日付の起訴状には訴因罰条として含まれていたものの、同年3…
事件番号: 昭和25(れ)909 / 裁判年月日: 昭和25年9月21日 / 結論: 棄却
一 刑訴應急措置法施行後においては、舊刑訴法第四一二條乃至第四一四條に規定する事由は、上告審において職權で調査することは許されない。 二 住居侵入罪と強盜罪とは、おのおのその被害法益とその犯罪構成要件とを異にしているのであつて、強盜罪は當に當然住居侵入を伴うものではなく、ただ兩者は通常手段結果の關係があるに過ぎない。さ…