共謀による連續一罪の事實の判示としては、單獨ではなく他の者と共謀したこと並びに行爲の始期、終期、回數、被害者の數、被害品の品目、總數等、行爲が連續犯に該當する複數のものであることを知り得る程度に判示すれば足りる。
共謀による連續一罪の窃盜の事實の判示方
舊刑訴360條1項,削除前の刑法55條
判旨
共謀による連続的窃盗事件において、犯行の始期・終期、回数、被害者数、品目、総数等が特定され、公訴事実の同一性を識別できる程度の判示があれば、罪数等の法条適用に支障はなく、理由不備の違法はない。また、公判廷における自白は補強証拠を要せず、これのみで有罪判決の基礎とすることができる。
問題の所在(論点)
1. 共謀による連続的な窃盗事実の判示において、どの程度の具体性が求められるか(理由不備の存否)。 2. 公判廷における自白に基づき、他の物的証拠(犯罪報告書等)なしに事実認定を行うことは許されるか(自白の補強証拠の要否)。
規範
1. 罪状の判示においては、共謀の事実、並びに行為の始期・終期、回数、被害者の数、被害品の品目・総数等、行為が連続犯(当時の刑法上の概念)に該当する複数の事象であることを知り得る程度に示せば足りる。これにより公訴事実の同一性が特定され、法条の適用が可能となるからである。 2. 公判廷における自白については、刑事訴訟応急措置法10条3項(現行憲法38条3項、刑訴法319条2項参照)の「自白」には含まれず、補強証拠なしに犯罪事実を認定できる。
重要事実
被告人らは共謀の上、多数回にわたり連続して窃盗を繰り返した。原判決は、これらの窃盗事実について、共謀の存在や犯行期間、被害の概括的な内容を判示したが、被告人側は判示が不正確かつ粗略であり、理由不備があるとして上告した。また、原審が特定の犯罪報告書そのものではなく、その内容を読み聞かされた被告人の公判廷での自認(自白)を証拠として事実認定したことの適法性も争点となった。
あてはめ
1. 原判決の判示は、共謀の事実のみならず、窃盗の始期・終期や被害総数等を、公訴事実を特定し相当な法条を適用するのに支障がない程度に記述している。したがって、判決理由に不備や齟齬があるとはいえない。 2. 証拠調べにおいて、原審は証拠とされなかった犯罪報告書そのものではなく、その内容を自認した被告人らの供述を証拠としている。証拠調べの範囲は裁判所の裁量に属し、かつ公判廷における自白は補強証拠を要しないため、物的証拠が欠けていても審理不尽や証拠法則違反の違法は認められない。
結論
1. 公訴事実を特定し法条を適用できる程度の判示があれば、詳細な個別の事実摘示がなくても理由不備にはならない。 2. 公判廷の自白は補強証拠を要さず、これのみで事実認定を行うことができる。本件各上告を棄却する。
実務上の射程
共謀共同正犯や包括一罪(または旧連続犯)における事実摘示の特定度合を示す指標として機能する。また、「公判廷の自白に補強証拠は不要」とする法理は、現在の憲法下での判例(最大判昭23.12.29等)の流れを汲むものであり、公判維持における自白の証拠能力を画定する意義を持つ。
事件番号: 昭和24(れ)1354 / 裁判年月日: 昭和24年7月19日 / 結論: 棄却
いわゆる自白の補強證據というものは。被告人の自白した犯罪が架空のものではなく、現實に行われたものであることを證するものであれば足りるのであつて、その犯罪が被告人によつて行われたという犯罪と被告人との結びつきまでをも證するものであることを要するものではない。