論旨第一點は、原判決には、裁判長のなすべき證據調手續を省略した違法があるというのである。しかし公判調書によれば、原審裁判長は判決に證據として舉げてある相被告人Aに對する司法警察官尋問調書、および同B檢察事務官聽取書(右「檢察事務官」は「副檢事」の誤記と認められる)のほか、被告人Cに對する司法警察官尋問調書を讀み聞け意見辯解を求めているのであつて、右手續が被告人尋問の間に行われてはいるが、これがすなわち證據調になつているのであつて證據調がなかつたということを前提とする論旨は理由がない。
被告人訊問の間に讀み聞け意見辯解を求めた場合と證據調手續の正否
舊刑訴340條,舊刑訴347條
判旨
共犯者の自白のみを証拠として有罪を認定することは、憲法上の自白の補強証拠に関する規定(旧刑事訴訟法下を含む)に違反せず、適法である。
問題の所在(論点)
共犯者の自白(供述)を証拠として被告人の有罪を認定することができるか。特に、被告人自身の自白がある場合に共犯者の供述が補強証拠となり得るか、あるいは共犯者の自白のみで有罪認定が可能かが問題となる。
規範
共犯者の公判廷における供述(自白)は、被告人の自白を補強する証拠となり得るとともに、被告人の自白がなくとも共犯者の自白(供述)のみによって被告人を犯人と認定することが可能である。
重要事実
被告人Dは、公判廷において自らの犯行事実を自白していた。原判決は、判示事項(九)については被告人自身の公判廷供述により、判示事項(一〇)については共犯者である各共同被告人の供述および被告人自身の公判廷供述を総合して有罪事実を認定した。これに対し弁護人は、犯罪の動機や経過について詳細な調査がなく、証拠の検討が不十分であるとして理由不備の違法を主張した。
あてはめ
最高裁は、原判決が証拠として挙げた共犯者(共同被告人)の供述記載が、被告人Cの窃盗犯行を認めるに足りる証拠であると判示した。また、被告人Dについても、共犯者の供述と本人の公判廷供述により事実認定を行っている。さらに、犯罪の動機や情状などは判決における証拠説明を要する事項ではなく、証拠調べの範囲も裁判所の裁量に属する。したがって、これらの証拠に基づく事実認定に違法はないと判断した。
結論
被告人自身の自白の有無にかかわらず、共犯者の供述を証拠として有罪を認定した原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
憲法38条3項の「本人の自白」に共犯者の供述は含まれないため、補強証拠なしに共犯者の自白のみで被告人を処罰できるという結論(共犯者の自白の証拠能力と証明力)を導く際に、実務上の指針として用いられる。
事件番号: 昭和25(あ)2845 / 裁判年月日: 昭和27年4月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の自白は被告人の犯罪事実を認定する証拠能力を有し、これに被害届等の補強証拠を合わせることで、被告人の自白が一切存在しない場合であっても有罪判決を言い渡すことができる。 第1 事案の概要:被告人が犯行を否認している状況において、原判決は共同審理を受けた共犯者の自白および盗難被害届に基づき、被告…