一 數個の行爲が繼續の意思に出でたものであることが、證據にょつて認められた犯罪行爲の性質、態樣等から自ら推知される場合には、犯意繼續の點について、特に之を證據にょつて認めた理由を説明する必要がないものと解すべきである。 二 所論被害辨償に關する受領書は、證據書類として裁判所に提出せらるる場合と、證據方法としてでなく參考として裁判所に提出せらるる場合とがある。右前段の場合は證據書類の領置押收として所論の如く刑事訴訟法第六〇條第九號第一〇號等に則り、その旨公判調書に記載せらるべきものであること勿論であるが、右後段の場合には公判調書に何等の記載をも必要としないものと云わねばならぬ。
一 犯意繼續の點が犯行の性質態樣等から自ら推知せられる場合と證據理由説示の要否 二 參考として裁判所に提出された書類につき公判調書に記載の要否
刑法55条,刑訴法360条1項,刑訴法60条9号,刑訴法60条10号
判旨
数個の行為が継続の犯意に基づくことが、証拠から認められる犯罪の性質や態様等から推知される場合には、判決書においてその理由を特に説明する必要はない。また、証拠方法としてではなく単なる参考資料として提出された書面については、公判調書への記載を要しない。
問題の所在(論点)
1.判決書において、数個の行為を包括一罪(犯意継続)として認める際、その主観的態様について個別の証拠説明が必要か。 2.証拠方法としてではなく、情状等の参考資料として提出された書面の取り扱いと公判調書への記載義務の有無。
規範
1.犯意の継続性に関する証拠説明の要否:数個の行為が継続の犯意に出たものであることが、証拠によって認められた犯罪行為の性質、態様等から自ら推知される場合には、犯意継続の点について、特にこれを証拠によって認めた理由を説明する必要はない。 2.参考資料の公判調書記載義務:証拠書類としてではなく、単なる参考として裁判所に提出された書面(受領証等)については、公判調書にその旨を記載することを要しない。
重要事実
被告人が短期間内に同種の犯行(窃盗罪等)を繰り返した事案において、第一審判決は「被告人は犯意継続して」と判示した。これに対し弁護人は、犯意継続を認めるための証拠説明が欠けている点に理由不備の違法があると主張した。また、被害弁償に関する受領証が原審に提出されていたにもかかわらず、公判調書にその記載がない点も手続き上の違法として争われた。
あてはめ
1.第一審判決の具体的事実によれば、短期間内に同種の犯行が繰り返されており、行為の性質・態様から「犯意継続」があったことは明瞭である。このような場合、犯意継続の認定について特段の証拠説明を欠いても理由不備の違法はない。 2.本件受領証は公判調書に記載がないことから、証拠書類の領置押収等の手続きを経た証拠方法ではなく、単なる参考資料として提出されたものと解される。この場合、公判調書への記載は不要であり、記録に編綴されていれば裁判所が判決に際して考慮していると解するのが相当である。
結論
1.犯意継続の推知が可能な場合、個別の証拠説明は不要であり、理由不備には当たらない。 2.参考資料として提出された書面の公判調書不記載は、違法ではない。
実務上の射程
包括一罪(常習犯や連続犯)の認定において、主観的要件の認定根拠が客観的な犯行態様から明らかな場合の判決書の簡略化を認める。また、実務上、証拠調べを経ない「参考資料(情状資料)」の公判調書上の位置づけを明確にしており、証拠能力の厳格な証明が不要な領域における実務処理の根拠となる。
事件番号: 昭和23(れ)979 / 裁判年月日: 昭和23年11月11日 / 結論: 棄却
一 処罰しようとする罪と刑法第五六条第一項の累犯となる前科の刑の執行を終つた時を判示するには、右刑の執行が処罰しようとする罪の実行前に終つていることが明らかで、且つ、右前科の刑の言渡の時から計算して、その刑期を経過した時が処罰しようとする罪の行われた日から優に五年以内であることが明らかなときは、右前科の刑の言渡の年月日…