一 処罰しようとする罪と刑法第五六条第一項の累犯となる前科の刑の執行を終つた時を判示するには、右刑の執行が処罰しようとする罪の実行前に終つていることが明らかで、且つ、右前科の刑の言渡の時から計算して、その刑期を経過した時が処罰しようとする罪の行われた日から優に五年以内であることが明らかなときは、右前科の刑の言渡の年月日及びその刑期を示し、その頃その刑の執行を終つた旨を判示すれば足り、前科の刑の執行終了の年月日を明示しなくても差支えない。 二 判決には刑の量定の理由を説示することを要するものではないから、所論のように原判決において被告人に對する刑が相被告人に對する刑に比して相當であることの理由を説示しなかつたからといつて、原判決には理由を附せない違法ありとはいえない。
一 累犯となる前科の刑の執行終了時期の判示方 二 量刑相當の理由を説示しない判決と理由不備の違法
刑法56条1項,刑訴法410條19號
判旨
判決において量刑の理由を詳細に説示することは法律上必要ではなく、共犯者間での刑の均衡について理由を付さなかったとしても、理由不備の違法とはならない。
問題の所在(論点)
刑事判決において、量刑の具体的な理由(特に共犯者との刑の均衡など)を説示することが必要か。また、証拠間の些細な不一致を超えて自白に基づき事実を認定することが許容されるか。
規範
判決書における刑の量定の理由の説示について、裁判所は刑法上の量刑判断を行うにあたり、個別の量刑事情や共犯者との均衡に関する具体的な理由を判決文中に逐一詳述することを法律上義務付けられているものではない。
重要事実
被告人Aは、原判決において累犯加重がなされた際、前科調書に基づく適法な証拠調べが行われていたにもかかわらず、手続違背や理由不備を主張して上告した。また、被告人Aは共犯者と比較して自身の量刑が不相当であることの理由が説示されていない点も不服とした。さらに被告人Bは、被害届記載の数量(タオル17梱)と判示の数量(24梱)の食い違いを理由に、事実誤認や理由不備を主張した。
あてはめ
量刑については、裁判所の合理的な裁量に属する事項であり、判決書にその詳細な理由を記載しなかったとしても、直ちに理由不備の違法を構成するものではない。本件では、前科調書の取調べ等の適法な手続を経て累犯加重がなされており、計算上も5年以内の再犯であることが明白である。また、窃取したタオルの数量についても、被害届の記載に拘束されず、被告人の自白を信頼して証拠全体を総合し24梱と認定した原審の判断は、経験則に反せず、理由不備や理由齟齬にも当たらない。
結論
量刑の理由を説示しなかったこと、および証拠の取捨選択に基づく事実認定は、いずれも裁判所の裁量の範囲内であり、適法である。したがって本件各上告を棄却する。
実務上の射程
実務上、量刑理由は「いかなる事情を重視したか」を簡潔に示せば足り、共犯者との比較や詳細な計算過程を説示しないことが直ちに違法とされることはない。被告人の自白を他の客観的証拠(被害届等)より優先して事実認定に用いることも、裁判所の証拠評価の裁量として広く認められる。
事件番号: 昭和23(れ)396 / 裁判年月日: 昭和23年11月5日 / 結論: 棄却
一 數個の行爲が繼續の意思に出でたものであることが、證據にょつて認められた犯罪行爲の性質、態樣等から自ら推知される場合には、犯意繼續の點について、特に之を證據にょつて認めた理由を説明する必要がないものと解すべきである。 二 所論被害辨償に關する受領書は、證據書類として裁判所に提出せらるる場合と、證據方法としてでなく參考…