被告人がAと五等親の親族關係にあることは所論のとおりであるが、被告人の住居は、福岡市a町b番地でありAは同町c番地に住居しているものであることは記録上明らかなところであるからたとい所論のように僅々數日間兩人が相携へて福岡市の住居地から佐世保市、d町等へ旅行しその間起居を共にしたとの事實があるとしても、それだけでもつて刑法の適用上兩人を同居者の親族として取扱うべきだという主張はとうてい首肯し得ないところである。
被告人が五親等の親族關係にある者と旅行期間中起居を共にした場合と刑法第二五七條
刑法257條
判旨
刑法257条1項にいう「同居の親族」にあたるためには、単に数日間寝食を共にしたというだけでは足りず、生活の拠点を共にしていることが必要である。
問題の所在(論点)
刑法257条1項の親族間の犯罪に関する特例の適用要件である「同居の親族」に、数日間の旅行中に寝食を共にしただけの親族が含まれるか。
規範
刑法257条1項が規定する「同居の親族」とは、単に一時的な旅行等で起居を共にした者を指すのではなく、客観的・実態的に生活の拠点を同一にしている親族を指すと解すべきである。
重要事実
被告人と親族(五親等)であるAは、それぞれ福岡市内の別の番地に住居を有していた。被告人とAは、数日間共に佐世保市などへ旅行し、その間は起居を共にしていたという事情があったが、それ以外に生活実態を共有している事実は認められなかった。
あてはめ
本件において、被告人とAはそれぞれ別個の住居(福岡市a町b番地およびc番地)を有しており、本来の生活の拠点は異なっていた。被告人とAが「僅々数日間」旅行を共にし、その間だけ起居を共にしたとしても、それは一時的な宿泊を伴う行動に過ぎない。したがって、このような一時的な共同生活は、刑法の適用上「同居」と評価するには足りないといえる。
結論
被告人とAは同居の親族には該当せず、刑法257条の適用は認められない。したがって、盗品関与罪等の処罰が免除されることはない。
実務上の射程
親族相盗例(244条)や盗品等罪の親族間特例(257条)における「同居」の概念を画した判例である。答案上では、単なる一時的な滞在や宿泊では足りず、生活の本拠を共にしている実態が必要であることを論証する際に引用する。
事件番号: 昭和26(あ)3196 / 裁判年月日: 昭和28年3月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法257条に定める親族間の刑の免除の事由は「罪となるべき事実」には該当しない。したがって、当該事実の認定にあたり、共犯者の供述調書等について厳格な証明や補強証拠を要さず、伝聞法則の適用も排除されるとした。 第1 事案の概要:被告人Aは盗品牙保、運搬および収受の罪で、被告人Bは盗品故買の罪でそれぞ…