一 満一五才又は満一六才の未成年者であるというだけで事理を弁える能力がないということはできないのであるから、これらの者の供述は証拠能力を欠くものではない。その供述を信用し得るものとして証拠として採用するか否かは事実審たる裁判所の自由裁量に委ねられている問題である。 二 刑法第二四四条は、同条所定の者の間において行われた窃盗罪及びその未遂罪に関しその犯人の処罰につき特例を設けたに過ぎないのであつて、その犯罪の成立を否定したものではないから、右窃盗罪によつて奪取された物は賍物たる性質を失わない。
一 満一五歳又は満一六歳の未成年者の供述の証拠能力 二 刑法第二四四条と賍物
旧刑訴法337条,刑法244条,刑法256条
判旨
刑法244条1項の親族相等例は、刑の免除を定めた処罰に関する特例に過ぎず犯罪の成立を否定するものではないため、親族間で窃取された物であっても盗品等(賍物)としての性質を失わない。
問題の所在(論点)
親族相当例(刑法244条1項)が適用される窃盗罪によって取得された物は、刑法256条にいう「盗品(賍物)」にあたるか。同条の規定が「処罰の阻却」か「違法性・有責性の阻却」かが問題となる。
規範
刑法244条(親族間の犯罪に関する特例)は、同条所定の親族間で行われた窃盗罪等について、その犯人の処罰につき特例を設けたものに過ぎない。したがって、同条の適用がある場合であっても、当該行為の犯罪としての成立自体は否定されるものではなく、奪取された物は依然として「盗品等(賍物)」としての性質を有する。
重要事実
被告人は、物品を買い受けたが、その物品は親族間における窃盗罪(刑法244条の対象となるケース)によって取得されたものであった。被告人は、親族間の窃盗により取得された物は、処罰されない以上は「盗品等」に該当せず、盗品等関与罪(賍物罪)は成立しないと主張して上告した。
あてはめ
刑法244条は処罰に関する特例を定めたものと解される。本件において、窃盗の実行行為自体は客観的に構成要件に該当し、違法かつ有責な行為として成立している。そのため、当該行為によって占有が離脱した物品は、本権者との関係で不法な状態にある「盗品(賍物)」としての属性を維持している。被告人が、当該物品が親族間の窃盗によるものであると認識して買い受けたとしても、盗品であることの認識に欠けるところはなく、盗品等関与罪の成立を妨げない。
結論
親族間窃盗によって取得された物であっても盗品等としての性質を失わないため、これを買い受けた被告人には盗品等関与罪(賍物罪)が成立する。
実務上の射程
親族相当例の法的性質が「政策的な刑の免除(処罰阻却事由)」であることを明示する際に使用する。答案上は、盗品等関与罪の成否において、本犯(前置犯罪)が処罰されない場合でも盗品性が認められることを論証する重要基礎判例となる。
事件番号: 昭和26(あ)4414 / 裁判年月日: 昭和28年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賍物罪(盗品等関与罪)の成立には、客体が盗品等であることの認識が必要であるが、第一審判決が挙示した証拠を総合して認定できる場合には、事実誤認の違法はない。 第1 事案の概要:被告人が賍物故買(盗品を有償で譲り受けること)の罪に問われた事案。弁護人は、第一審判決の事実認定に不備があり、判例に違反する…