窃盜犯人が盜難被疑者の直系卑屬であることは免責の事由になるだけであつて少しも窃盜罪の成立を妨げるものではないから親族相盜の場合でも賍物たるの情を知つてこれを買受ければ故買罪が成立することは疑のないところである。然らば原審が右と同一解釋の下に賍物故買罪をもつて被告人を問擬したことは正當である。
親族相盜の場合において賍物たるの情を知つて買受た者の責任
刑法244條1項,刑法256條1項
判旨
親族間窃盗の特例(刑法244条1項)は刑を免除する事由にすぎず窃盗罪の成立自体を妨げないため、その客体は依然として「贓物」にあたる。したがって、親族間窃盗による盗品であることを知りながらこれを買い受けた場合、盗品等有償譲受罪(旧・贓物故買罪)が成立する。
問題の所在(論点)
親族間窃盗の特例(刑法244条1項)が適用され、刑が免除されるべき親族間の窃盗によって領得された物品について、盗品等関与罪(旧・贓物故買罪)が成立するか。物品の「盗品(贓物)」性が失われるかどうかが問題となる。
規範
親族相盗(刑法244条1項)の規定は、政策的見地から刑を免除する事由(必要的免除)を定めたものにすぎず、窃盗罪の構成要件該当性および違法性を阻却するものではない。したがって、親族間で盗み出された物品であっても、客観的に「贓物(盗品)」としての属性を失わない。
重要事実
被告人は、AおよびCがそれぞれ実父や自家から盗み出した物品であることを知りながら、これらを買い受けた。Aは実父Bから、Cは自家から窃盗を敢行しており、いずれも親族間窃盗の特例が適用され得る関係にあった。
あてはめ
本件において、Aが実父Bから盗んだ物品およびCが自家から盗み出した物品は、親族間の窃盗によるものである。しかし、窃盗犯人が被害者の直系卑属であることは免責事由になるだけで、窃盗罪の成立自体に影響しない。そうである以上、当該物品は依然として「贓物」としての性質を保持している。これを情を知って買い受けた被告人の行為は、贓物故買罪の構成要件を充足する。
結論
親族相盗の場合であっても、その物品が「贓物」であることの知情をもって買い受ければ、贓物故買罪(盗品等有償譲受罪)が成立する。
実務上の射程
親族相盗の規定(244条)の法的性格を「処罰阻却事由(必要的免除)」と解する通説・実務の立場を明示する際に引用すべき判例である。盗品等罪における「盗品」の意義が、本犯について処罰の可能性を要せず、構成要件に該当する違法な行為によって領得されたものであれば足りることを示す論理として、答案上重要である。
事件番号: 昭和24(れ)1123 / 裁判年月日: 昭和24年10月11日 / 結論: 棄却
一 刑訴應急措置法第一二條第一項が違憲の法律でないことは、當裁判所大法廷の判例とするところである(昭和二三年(れ)第二九四號同年七月二九日判決)。 二 賍物故買者は問題の物品が賍物たる性質を有する間に賍物を知りつゝこれを買うことに依つて成立するのであつて、賣主が盜取者から直接に買つたということは要件でないのであるから、…