賍物故買罪は買主が賍品たることを知りながらこれを有償取得することによつて成立するのであるから、法律上の賣主が誰であるかを明確にする必要はないのである。原判決によると被告人は賍物であることの情を知りながら米三俵を一萬五千圓で下買受けた事實が確定されているのであるから賍物故買罪の成立することは明かであつて、その法律上の賣主がBであるか或はその他の者であるかは犯罪の成否に關係のない事柄である。
賍物故買罪において賍物の賣主の氏名を明示しない判決と同罪の成否
刑法256條,舊刑訴法360條1項
判旨
盗品等有償譲受け罪(旧贓物故買罪)は、目的物が盗品等であることを知りながら有償で取得することで成立し、法律上の売主が誰であるかを特定することは犯罪の成否に影響しない。
問題の所在(論点)
盗品等有償譲受け罪の成立において、譲渡契約における法律上の売主を特定し、認定することが必要か。また、実際の売主が判示された売主と異なる場合に、有罪判決の結論に影響を及ぼすか。
規範
盗品等有償譲受け罪(刑法256条2項)は、行為者が、目的物が盗品その他財産罪に当たる罪によって領得された物であることを知りながら、有償で譲り受けることによって成立する。したがって、その譲渡行為(売買等)における法律上の売主が誰であるかを明確にする必要はない。
重要事実
被告人は、米3俵が盗品(贓物)であることを知りながら、1万5000円で買い受けた。原判決では、被告人がBから買い受けたと認定されていたが、上告審において被告人側は、実際にはBの依頼により米の所有者から買い受けたものであると主張し、事実誤認を訴えた。
あてはめ
本件において、被告人が本件米3俵を盗品であるとの情を知りながら、代金1万5000円を支払って取得した事実は確定している。この「盗品であることの知情」および「有償取得」という要件が満たされる以上、法律上の売主がBであるか、あるいは真の所有者であるかといった点は、本罪の構成要件を充足する判断において左右するものではない。よって、売主の認定に関する主張は、犯罪の成否に影響しない事項に関するものであるといえる。
結論
盗品等有償譲受け罪は成立する。売主が誰であるかは犯罪の成否に関係がなく、原判決の結論に影響を及ぼさない。
実務上の射程
本判決は、盗品関与罪の本質が、本犯による違法な状態を維持・固定化する点にあることを踏まえ、取引の相手方の特定よりも、目的物の属性の認識と取得行為自体を重視している。答案上は、盗品等罪の成立要件を論じる際、売主等の権利関係が複雑な事案において、客観的な授受と主観的認識があれば足りる旨を根拠づける際に活用できる。
事件番号: 昭和23(れ)2057 / 裁判年月日: 昭和24年5月24日 / 結論: 棄却
一 賍物故買罪の判示としては、盜品を盜品と知りながら買受けた事實を證據により確定して判示すれば足り、何人が誰からその物を盜み取つたかの事實を判示する必要もなく、又その證據説示をする必要もない。(昭和二三年(れ)第六六五號、同年一〇月三〇最高裁判所第二小法廷判決参照) 二 憲法第三八條第三項は、一被告人の自白を裏付ける補…