判旨
刑法257条に定める親族間の刑の免除の事由は「罪となるべき事実」には該当しない。したがって、当該事実の認定にあたり、共犯者の供述調書等について厳格な証明や補強証拠を要さず、伝聞法則の適用も排除されるとした。
問題の所在(論点)
刑法257条(盗品等に関する罪の親族間の特例)の適用要件となる親族関係等の事実は、刑事訴訟法上の「罪となるべき事実」に含まれるか。また、その認定において伝聞法則等の適用があるか。
規範
刑法257条所定の刑免除の原由たる事実は「罪となるべき事実」に該当しない。したがって、これを確認するための証拠調べにおいて、刑事訴訟法が定める「罪となるべき事実」の認定に関する厳格な制約(伝聞法則や補強証拠の要否等)は適用されない。
重要事実
被告人Aは盗品牙保、運搬および収受の罪で、被告人Bは盗品故買の罪でそれぞれ起訴された。第一審判決は、両被告人の自白およびその他の証拠に基づき有罪を認定した。これに対し弁護側は、盗品関与罪における親族間の特例(刑法257条)の適用に関する事実認定が、共同被告人の供述調書のみに基づいている点は違法であると主張して上告した。
あてはめ
刑法257条の刑免除事由は、犯罪の成立自体を左右するものではなく、成立した犯罪に対する刑の免除という政策的な処遇に関するものである。そのため、構成件数等の「罪となるべき事実」には該当しない。本件において、第一審が刑免除の存否に関する事実を共同被告人の供述調書のみで認定したとしても、それは「罪となるべき事実」の認定ではないため、手続上の違法は存しないと解される。
結論
刑法257条の事由は「罪となるべき事実」ではないため、共同被告人の供述調書のみによる認定も適法である。上告棄却。
実務上の射程
実務上、構成要件・違法性・有責性を基礎付ける事実は「罪となるべき事実」として厳格な証明を要するが、刑の免除事由や情状に関する事実はこれに含まれないことを示した。答案上は、伝聞例外(刑訴法321条以下)や自白の補強証拠(319条2項)の適用範囲を画する際の基準として活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)2036 / 裁判年月日: 昭和26年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品等に関する罪において、親族間の特例(刑法257条1項)が適用されるためには、犯人と本犯との間に親族関係があるだけではなく、犯行がその親族の指図や依頼に基づくものであることが必要とされる。 第1 事案の概要:被告人Aは、夫であるBが本犯として関与した財物について、盗品等に関する罪(賍物罪)に問わ…