判旨
親族相関例の適用に関し、原審で主張されていない事実や第一審で認定されていない事実は、上告審において判断の対象とならない。また、被害者が告訴の意思を有していることが書面等により明らかな場合には、告訴の有効性が認められる。
問題の所在(論点)
第一審や控訴審で主張・認定されていない事実を根拠として、上告審で親族相関例の不適用や手続きの違法を主張できるか。また、告訴の意思の有無はどのように判断されるか。
規範
上告審は事後審としての性格を有するため、第一審で認定されず、かつ原審(二審)において主張も判断もされていない事実は、刑訴法405条の上告理由とはならない。また、親告罪における告訴の有無については、記録上の諸書面により被害者の告訴の意思が認められるか否かによって判断される。
重要事実
被告人が窃盗罪等の容疑で起訴された事案において、弁護人は「被告人と被害者が同居の親族であった」として親族相関例(刑法244条)の適用を主張し、また「告訴が無効である」として上告した。しかし、同居の事実は第一審の認定に含まれておらず、原審でも主張・判断されていなかった。一方、記録上の書面からは被害者Aに告訴の意思があったことが伺えた。
あてはめ
本件において「被告人と被害者が同居していた」事実は、第一審で認定されておらず、かつ原審でも主張・判断されていない。このような新事実に依拠する主張は、適法な上告理由に当たらない。また、告訴の有効性については、所論の書面により被害者Aが告訴の意思を有していたことが認められるため、訴訟条件を欠くなどの法令違反も存在しないといえる。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらず、また刑訴法411条を適用すべき職権破棄事由も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
親族相関例における「同居」等の事実認定や、告訴の有無といった訴訟条件に関する主張は、事実誤認や量刑不当の枠組みで争うべきであり、上告審で初めて持ち出すことは原則として許されない。実務上は控訴審までに主張を尽くすべきであることを示唆している。
事件番号: 昭和27(あ)4196 / 裁判年月日: 昭和28年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の供述のみを根拠に有罪を認定することは許されないが、当該供述に加えて他の客観的証拠等を総合して事実を認定する場合には、補強証拠の要請を満たし憲法及び刑事訴訟法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が判示第二の事実について起訴された事案において、第一審判決は共犯者と推認されるAの供述を用いて…