一 昭和二四年第三七九号は同第三九〇号と同一なり。 二 少年法第六八條、第六九條は少年の刑事々件を取扱う者に對する訓示的の規定と解すべきであり、同法第六七條の違反については、別途にその救濟の手段を採るべきであつて、如上、所論のごとき手續上の瑕疵は結局原判決に影響を及ぼさないものというの外なく、原判決を破毀すべき理由とするに足りない。 三 かりに裁判が迅速を缺き、憲法第三七條第一項に違反するとしても、そのこと自体は判決に影響を及ぼす事項と認めることはできないのであるから、これをもつて判決を破毀する理由とすることのできないことは、當裁判所の判例の示すところである。(昭和二三年(れ)第一〇七一號、同年一二月二二日大法廷判決) 四 所論被害物件は、愛媛縣宇摩郡A組合代表者Bの保管していたものであることは、原判決の確定するところである。所論刑法第二四四條親族相盜に關する規定は、窃盜罪の直接被害者たる占有者と犯人との關係についていうものであつて、所論のごとくその物件の所有權者と犯人との關係について規定したものではないのであるから、原審が右組合に關して、それが法人格を有するか否かを明らかにせず、從つて、右物件の所有權關係については、單に「組合所有」とのみ判示して、その所有權の歸屬者を明らかにしなかつたとしても、所論のごとき違法ありとすることはできない。 五 物件の保管者Bと被告人等との間には、親族關係の存在を疑わしめるような事情は少しもあらわれていないのであるから、原審が公判において、この點について審訊をしなかつたからといつて、所論のごとき違法ありとはいえない。(昭和二三年(れ)第九九二號、同年一二月二七日大法廷判決参照)
一 裁判が迅速を欠き憲法第三七條第一項に違反する場合と上告理由 二 少年法第六八條第六九條第六七條の違反と上告理由 三 裁判所が迅速を缺き憲法第三七條第一項に違反する場合と上告理由 四 所有權の歸屬者を明示しない判決の正否と刑法第二四四條 五 窃盜犯人とその被害者との間に親族關係の存在しないことが明白な場合とこれについての審判の要否
少年法68條,少年法69條,少年法67條,舊刑訴法411條,憲法37條1項,刑法244條,刑法235條
判旨
刑法244条1項の親族相盗例の規定は、窃盗罪の直接の被害者である占有者と犯人との間の親族関係について定めるものであり、物の所有者と犯人との間の関係を規定したものではない。
問題の所在(論点)
親族相盗例(刑法244条1項)の適用において、犯人との間に親族関係が必要とされるのは、物の「占有者」か、それとも「所有者」か。
規範
刑法244条1項の親族相盗例は、窃盗罪の直接の被害者である「占有者」と犯人との間に親族関係がある場合に適用される。したがって、当該物件の所有権者と犯人との間に親族関係があったとしても、占有者との間にその関係がなければ、同条の適用はない。
重要事実
被告人らは、愛媛県内の組合代表者Bが保管していた物件を窃取した。原判決は、当該組合が法人格を有するか否か、および物件の真の所有者が誰であるかを明示せず、単に「組合所有」と判示した。被告人側は、所有権の帰属が不明であれば親族相盗例の適用の有無を判断できず、審理不尽の違法があると主張して上告した。
あてはめ
窃盗罪は占有という事実上の支配を保護法益とするものである。本件において、被害物件は組合代表者Bによって保管(占有)されており、Bが直接の被害者である。判決によれば、保管者Bと被告人らとの間には親族関係を疑わせる事情は全く認められない。したがって、所有権の帰属が誰にあるかにかかわらず、占有者との間に親族関係がない以上、親族相盗例を適用する余地はないため、所有関係を詳細に確定しなかった原審の判断に違法はない。
結論
親族相盗例は占有者と犯人との関係をいうものであり、所有者と犯人の関係をいうものではない。したがって、占有者との間に親族関係がない本件では、同条の適用は否定される。
実務上の射程
所有者と占有者が異なる場合に、いずれとの間に親族関係が必要かという論点(二重の親族関係の要否)において、本判決は占有者を重視する立場を示す。司法試験では、所有者と占有者の双方が犯人と親族関係にあることを要するとする通説的見解(相対的効力説の論理的帰結)との比較で、本判決を占有者側の要件を充足すべき根拠として引用する。
事件番号: 平成18(あ)334 / 裁判年月日: 平成18年8月30日 / 結論: 棄却
刑法244条1項は,内縁の配偶者に適用又は類推適用されない。