しかし本件公判請求書記載の公訴事實は被告人等が共謀の上Aからサツカリン一一本を強取したという強盜の事實である原判決認定の事實は被告人等が共謀してAからサツカリン一一本を騙取した詐欺の事實であるから何れも奪取罪であつて基本となる事實は同一である。從つて原判決の認定した事實は公訴事實と同一性を有し唯その法律判斷を異にするに過ぎないから原判決には所論の如き違法はない論旨は採用できない。
同一物件を同人から強取した事實と騙取した事實の同一性
舊刑訴法291條1項,舊刑訴法410條18號,刑法236條,刑法246條
判旨
公訴事実である強盗罪と、裁判所が認定した詐欺罪は、いずれも奪取罪として基本となる事実が同一であり、公訴事実の同一性が認められる。
問題の所在(論点)
強盗罪として起訴された事実に対し、訴因変更の手続きを経ることなく詐欺罪を認定することが、公訴事実の同一性の範囲内として許容されるか。
規範
公訴事実の同一性(刑事訴訟法256条3項、312条1項)は、基本となる事実が同一であるか否かによって判断される。具体的には、罪質が共通するなどの関係にあり、事実関係の基礎において共通性が認められる場合には、法律判断を異にするとしても同一性が認められる。
重要事実
被告人らが共謀の上、被害者Aからサッカリン11本を強取したとして強盗罪で公訴が提起された。これに対し、原審は証拠に基づき、被告人らが共謀の上、Aからサッカリン11本を騙取したという詐欺の事実を認定した。
あてはめ
本件における強盗の公訴事実と、原判決が認定した詐欺の事実は、いずれも「サッカリン11本の奪取」という点において共通している。これらはいずれも奪取罪という罪質を有しており、その基本となる事実は同一であると解される。したがって、認定された事実は公訴事実と同一性を有しており、単に法律判断(強盗か詐欺か)を異にするに過ぎない。
結論
強盗罪と詐欺罪は基本的事実において同一であり、公訴事実の同一性が認められるため、原判決の事実認定に違法はない。
実務上の射程
本判決は、公訴事実の同一性を「基本的事実の同一性」という基準で判断した初期の判例である。現在の実務では、単一性(強盗と詐欺が両立するか)と同一性(事実の共通性)の観点から整理されるが、本件のような「手段」のみが異なる奪取罪間の変更については、本判決の法理に従い広く同一性が肯定される傾向にある。
事件番号: 昭和27(あ)1845 / 裁判年月日: 昭和28年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】横領罪の公訴事実と、予備的に追加された詐欺罪の訴因事実は、その基礎的事実を同じくするものとして、公訴事実の同一性(刑事訴訟法312条1項)が認められる。 第1 事案の概要:被告人は当初、横領罪の公訴事実で起訴された。その後、差戻後の第一審において、検察官により詐欺罪の訴因が予備的に追加された。第一…
事件番号: 昭和29(れ)3 / 裁判年月日: 昭和29年8月24日 / 結論: 破棄自判
所論の本件公訴事実と原審認定事実とは基本的事実関係としては、いずれも同一物件について車票の差換による不法領得という同一行為に関するものであつて、一は所論の日時場所における貨車の転送をもつて窃盗既遂として起訴し他の転送先の駅又は倉庫で管理者より騙取し又は騙取しようとしたと認定したのは単に占有関係の法的価値評価を異にした結…