既に共謀して強盜をした以上、かりに、所論のごとく他の共犯者の暴行の結果たる傷害について被告人に故意、過失がなかつたとしても被告人も、また強盜傷人罪について共同正犯の責を負わなければならないのである。(昭和二三年(れ)第二四九號同年六月一二日第二小法廷判決)
強盜の共謀と共謀者中一部の者が犯した傷害の結果に對する共同責任
刑法60條,刑法240條
判旨
強盗の共謀に基づき実行行為に及んだ以上、他の共犯者が加えた暴行により被害者が負傷した場合には、たとえ当該傷害の結果について故意や過失がなかったとしても、共犯者全員が強盗致死傷罪(刑法240条)の共同正犯としての責を負う。
問題の所在(論点)
強盗の共同正犯において、一部の者が行った暴行により傷害の結果が生じた場合、他の共犯者にその結果(傷害)に対する故意・過失がなくても、強盗傷人罪(現行刑法240条前段)の共同正犯が成立するか。
規範
強盗の共謀に基づき共同して強盗を実行した場合には、その実行行為の過程で共犯者のひとりが被害者に傷害を負わせたときは、他の共犯者もその結果について故意・過失の有無を問わず、強盗傷人罪の共同正犯としての責任を免れない。
重要事実
被告人は、他の共犯者Aと被害者宅に侵入して強盗を行うことを共謀した。被告人とAは共に被害者宅に侵入し、強盗を遂行した。その際、共犯者Aの暴行によって被害者が傷害を負うに至った。被告人側は、他の共犯者の暴行による傷害の結果について、被告人自身に故意や過失はなかったと主張して上告した。
あてはめ
被告人と共犯者Aは強盗の共謀をし、実際に被害者宅に侵入して強盗を分担して実行している。強盗という犯罪の性質上、暴行に伴う傷害の結果発生は予定の範囲内といえる。したがって、たとえ被告人自身に傷害を生じさせる意図(故意)や不注意(過失)がなかったとしても、強盗の共謀に基づいて実行行為に及んでいる以上、共犯者Aの暴行から生じた傷害の結果についても連帯して責任を負うべきである。
結論
被告人は強盗傷人罪の共同正犯としての責を負う。原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
結果的加重犯の共同正犯に関するリーディングケースである。基本行為(強盗)について共謀・共同実行がある以上、加重結果(傷害)について過失がなくても共同正犯が成立することを明示した。答案では、共謀共同正犯または共同実行の枠組みにおいて、結果的加重犯の連帯責任を論じる際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和25(あ)3235 / 裁判年月日: 昭和26年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗傷人罪は結果的加重犯であるため、強盗の実行行為中に共犯者の一人が被害者に傷害を負わせた場合、共犯者間に傷害の意思連絡や予見がなくても、共犯者全員に同罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cは、強盗を共謀し、凶器を携えて被害者D宅に押し入った。強盗の実行行為中、隙を見て屋外に逃げ出した…
事件番号: 昭和24(れ)8 / 裁判年月日: 昭和24年6月4日 / 結論: 棄却
刑法第二四〇條前段の強盜傷人罪はいわゆる結果犯であるから、強盜の共犯者の一部の者が暴行したため傷害の結果を發生せしめた場合は強盜を共謀した者の全員が強盜傷人罪の責任を免れないことは屡々當裁判所の判例とするところである。