事件審判の併合分離は裁判所の便宜の處分に委せられているところであるから、たとえ所論のように第一審の場合と異なり、原審の場合には被告人の共犯者Aが控訴しなかつたために被告人の案件と相被告人等の案件との間に關連がなくなつたからといつて、原審が被告人と相被告人等とを併合審理したことをとらえて、違法であるということはできない。
被告人の案件と相被告人の案件との間に關連がないという主張と併合審理の成否
舊刑訴法348條,舊刑訴法第4章第2節公判手續
判旨
憲法37条1項が保障する「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗や不公平の恐れのない組織・構成を持つ裁判所による裁判を意味し、個々の事件の内容実質が具体的に公正妥当であることを指すものではない。
問題の所在(論点)
1. 相被告人との併合審理が「公平な裁判所の裁判(憲法37条1項)」に違反するか。 2. 控訴審における併合審理の継続および証人喚問の要否が裁判所の裁量の範囲内といえるか。
規範
1. 憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平の恐れのない組織・構成を備えた裁判所を指し、個別の審理内容や結果が具体的・実質的に公正であることを直接保障するものではない。 2. 訴訟手続における事件の併合・分離、および証拠調べの範囲(証人の喚問等)については、事実審裁判所の裁量に委ねられている。
重要事実
被告人が相被告人らと併合審理を受けた事案。第一審では共犯者Aも含まれていたが、控訴審(原審)ではAが控訴しなかったため、被告人の案件と相被告人らの案件との間に関連性が失われていた。被告人側は、この状況下での併合審理によって不公平な裁判を受けたと主張し、また共犯者Aを証人として訊問すべきであったこと、調書の記載不備や保釈申請却下時の誤記があったこと等を理由に、原判決の違憲・違法を訴えて上告した。
あてはめ
1. 憲法37条1項の保障は裁判所の組織的・構成的公平性を意味するため、被告人が併合審理により主観的に不公平を感じたとしても、直ちに同条違反とはならない。 2. 事件審判の併合・分離は裁判所の機宜の処分(裁量)である。控訴審で共犯者との関連性が失われたとしても、併合審理を継続したことが当然に違法となるわけではない。 3. 調書の不精確や誤記は認められるが、それらが併合審理から必然的に生じたとはいえず、判決に影響を及ぼさない。また、証人喚問の申請があった形跡もなく、証拠調べの範囲は裁判所の裁量に属するため、喚問しなかったことに違法はない。
結論
原判決に憲法違反および審理不尽の違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
憲法37条1項の「公平な裁判所」の定義を引用する際のリーディングケース。刑事訴訟法上の「裁判所の裁量(併合分離、証拠調べ)」の広範さを基礎付ける文脈で使用される。組織的担保があれば、個別の訴訟指揮(併合等)の当不当は直ちに憲法問題にはならないことを示す。
事件番号: 昭和26(れ)888 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所の裁判」とは、裁判所の組織構成において偏頗の恐れがないことを意味し、個々の事件における判決内容の実質的な妥当性を指すものではない。したがって、量刑の不当を理由に「公平な裁判」でないと主張することはできない。 第1 事案の概要:被告人は、婚姻して家庭を持ち、真面…