所論Aの證言は第一審公判廷においてなされ、これに對しては被告人の辯護人が補充訊問をなし、被告人自らも辯解している。このように證言が随一審公判廷において被告人の面前でなされ、被告人はすでにその供述の内容を知り悉しており、被告人に證人尋問の機會が與えられている場合には、第二審において同證人の申請(殊に本件においては證人の申請をしたのは被告人ではなくて相被告人の辯護人である。)を却下しておきながら、その供述記載を證據にとつても所論のような違法を來たすものでないこと。當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第一七一八號同二四年三月三一日第一小法廷判決)に示されている通りである。
第二審において證人申請を却下し第一審における同證人の供述記載を採證することの可否
憲法37條2項,刑訴應急措置法12條1項
判旨
共謀共同正犯が成立するためには、行為者が相互に意思を通じ、互いの気勢を利用しながら暴行・脅迫等の実行行為を分担して目的を遂げることを要する。
問題の所在(論点)
先行して暴行を開始していた先行者に対し、途中から加わった後行者が共通の目的を持って暴行・脅迫を継続した場合、恐喝罪の共同正犯が成立するか。
規範
共同正犯(刑法60条)が成立するためには、2人以上の者が特定の犯罪を行うために共同して犯罪を実行する客観的合議(共謀)が存在し、それに基づき互いに相手方の行為を利用・補充し合って犯罪を完遂する関係にあることを要する。
重要事実
被告人Bが被害者Cに対して返金を迫り暴行を加えている最中、外出先から帰宅した被告人Dがその経緯を聞いて憤慨し、Bと共にCから返金させようと決意した。Dは所持していた拳銃をCに向けて脅迫し、BもDの加勢を承知した上で、両名相まってCに返金を迫った。その結果、Cを畏怖させて金員を喝取するに至った。
あてはめ
被告人Dは、Bの暴行の経緯を知った上で「共に返金させよう」という共通の目的を持って脅迫に及んでいる。この際、BもDの加勢を承知しており、両者の間には「相互に意思を通じた」関係が認められる。また、Dが拳銃という強力な手段を用いて脅迫し、Bと「互いの気勢を利用」しながら共に返金を迫った行為は、実行行為の分担にあたる。被害者Cが金員を交付した背景にはBの暴行とDの拳銃による脅迫の双方が介在しており、暴行・脅迫と金員交付の間の因果関係も認められる。
結論
被告人DとBが相互に意思を通じ、互いの気勢を利用して暴行・脅迫を行い金員を喝取した以上、恐喝罪の共同正犯が成立する。
実務上の射程
承継的共同正犯に近い事態において、後行者が先行者の行為を認識しつつ、共通の目的の下で新たな暴行・脅迫を加えた場合に、意思の疎通と気勢の利用を根拠に共同正犯の成立を認める際の論理として活用できる。
事件番号: 昭和25(れ)273 / 裁判年月日: 昭和25年11月15日 / 結論: 棄却
第一審裁判所が公判廷外でした証人訊問調書も、弁護人が右訊問に立会してる以上、被告人が当時勾留中でこれに立ち会つていなくても、右調書に対しては刑訴応急措置法第一二条は適用されない。
事件番号: 昭和26(れ)2276 / 裁判年月日: 昭和27年3月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀による恐喝の実行中、その意図を察して加担した者が脅迫行為を行い、当初からの共謀者による脅迫と相俟って被害者を畏怖させ財物を交付させた場合、共謀加担者を含む全員について恐喝罪の既遂が成立する。 第1 事案の概要:被告人はA、Bらと共謀し、Cを脅迫して金員を喝取しようと考え、Cに対し脅し文句を並べ…