判旨
共謀による恐喝の実行中、その意図を察して加担した者が脅迫行為を行い、当初からの共謀者による脅迫と相俟って被害者を畏怖させ財物を交付させた場合、共謀加担者を含む全員について恐喝罪の既遂が成立する。
問題の所在(論点)
実行の着手後に加担した者がいる場合において、当初からの共謀者による脅迫行為と途中から加担した者の脅迫行為が相俟って財物交付の結果を生じさせたとき、被告人に恐喝罪の既遂が成立するか。
規範
実行共同正犯が成立するためには、共謀に基づき、各自の行為が相俟って特定の犯罪の結果を生じさせることを要する。実行の着手後であっても、他者の犯行意図を察してこれに加担し、先行者の行為と合同して結果を発生させた場合には、承継的共同正犯または実行途中の共謀として、その全体について共同正犯としての責任を負う。
重要事実
被告人はA、Bらと共謀し、Cを脅迫して金員を喝取しようと考え、Cに対し脅し文句を並べて脅迫した。その際、現場に居合わせたDが被告人らの意図を察してこの共謀に加担し、自らもCに怒声を浴びせて脅迫した。Cはこれらの一連の脅迫により畏怖し、2万円の封鎖小切手1通を交付するに至った。
あてはめ
被告人らは当初から金員喝取の目的でCを脅迫しており、恐喝罪の実行に着手していた。実行の途中で加担したDは、被告人らの意図を察した上で自らも脅迫を行っており、新たな共謀が成立したといえる。被告人らの先行する脅迫と、Dによる後行の脅迫は「相俟って」Cを畏怖させるに至ったと評価される。したがって、一連の脅迫行為とCの畏怖、及び財物の交付との間には因果関係が認められ、共同正犯の法理により被告人は全体の既遂結果について責任を負う。
結論
被告人について、共謀による恐喝既遂罪が成立する。
実務上の射程
実行着手後の共謀加担(いわゆる承継的共同正犯的場面)において、先行行為と後続行為が一体となって結果を発生させた場合の処理を示す。答案上は、共謀の成立時期と、行為の合同による結果発生の機序を論証する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1482 / 裁判年月日: 昭和29年2月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人を取引から除外したことを難詰した上で、別室に誘って金員の提供を迫り、これに応じない場合には取引に妨害を受けるかもしれないと畏怖させた行為は、恐喝罪(刑法249条1項)を構成する。 第1 事案の概要:被告人Aは、共同被告人Bと共に、被害者Cに対し、取引から被告人らを除外したことを激しく難詰した…
事件番号: 昭和26(れ)1780 / 裁判年月日: 昭和26年12月6日 / 結論: 棄却
教唆犯の成立には、ただ漠然と特定しない犯罪を惹起せしめるに過ぎないような行為だけでは足りないけれども、いやしくも一定の犯罪を実行する決意を相手方に生ぜしめるものであれば足りるものであつて、これを生ぜしめる手段、方法が指示たると指揮たると、命令たると嘱託たると、誘導たると從慂たるとその他の方法たるとを問うものではない。
事件番号: 昭和27(あ)785 / 裁判年月日: 昭和28年3月10日 / 結論: 棄却
被告人が学童服に不正な価格査定証紙を貼付し、その表示する価格が不正なものであることを知りながら、これを正当な査定価格であるかのように装つて相手方を欺罔し、所定の統制額を超過した代金で販売しその差額を騙取したときは右の所為は一面詐欺罪を構成すると同時に他面物価統制令に違反する。